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10月18日の日本の昔話
竹の子童子
竹筍童子
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、三ちゃんという、おけ屋の小僧さんがいました。
頭擺頭擺,有一個安到山汫(sanzian)个人,在桶店學徒。
ある日の事、三ちゃんは竹やぶへ竹を切りに行きました。
有一日,山汫(sanzian)去竹頭下斬竹仔。
「どの竹を切ろうかな?」
「愛斬哪支竹仔哪?」
三ちゃんがひとりごとを言うと、後ろの方から、
山汫(sanzian)一儕人在該噥噥噥噥个時節,
「・・・三ちゃん、・・・三ちゃん」
「‧‧‧山汫(sanzian)、‧‧‧山汫(sanzian)」
と、小さな声も聞こえました。
聽著在後背傳來細聲講︰
「おや、だれだろう?」
「唉哦,會係麼人?」
三ちゃんは、グルリとあたりを見回しました。
山汫(sanzian)轉身四周圍巡看。
しかし、誰もいません。
毋過無看著半儕。
ただ竹が、ザワザワとゆれるばかりです。
斯一兜竹仔搖到沙沙滾響。
「なんだ、誰もいないじゃないか」
「仰會恁樣形,無半儕人?」
三ちゃんが歩き出すと、また、
「三ちゃあん、三ちゃあん」
と、さっきよりも大きな声が聞こえるのです。
山汫(sanzian)又再過行个時節,又聽著比頭下較大聲喊佢︰
「山汫(sanzian)、山汫(sanzian)」
「誰だい?さっきから呼んでるのは?どこにかくれているんだ?」
「麼儕?頭下到今緊喊𠊎?到底囥在哪?」
三ちゃんが言うと、すぐそばの竹が答えました。
山汫(sanzian)講煞,脣頭个竹仔黏時應講:
「ここだよ、ここだよ。この竹の中だよ」
「在這,在這,這竹仔肚。」
「この竹の中?」
「這竹仔肚?」
三ちゃんは、竹に耳をつけてみました。
山汫(sanzian)耳空偎過去聽。
すると竹の中から、はっきりと声が聞こえてきます。
竹仔肚个聲斯聽當清楚。
「三ちゃん、お願いだよ。この竹を切っとくれ」
「山汫(sanzian)拜託你哦,斬這支竹仔。」
そこで三ちゃんは、その竹を切り倒してみました。
所以山汫(sanzian)斯斬該支竹仔。
すると竹の中から、小さな小さな男の子が飛びだしてきたのです。
竹仔裡肚躍出一個細細个細倈仔。
「わぁーい、助かった。ありがとう!」
「哇,得救了,承蒙你!」
その男の子は、三ちゃんの小指ぐらいの大きさです。
該個細倈仔,差毋多山汫(sanzian)个手指尾恁大定。
「お前は、何者だ?!」
「你係麼人?」
「ぼくは、天の子どもだよ」
「𠊎係天公个倈仔。」
小さな男の子は、ピョンと三ちゃんの手のひらに飛び乗りました。
細倈仔一躍就躍到山汫(sanzian)个手巴掌頂。
「ゆうべ、流れ星に乗って遊んでいたら、いじわるな竹がぼくを閉じこめてしまったんだ。でも三ちゃんのおかげで、助かったよ。これでやっと、天に帰れる」
「昨暗晡坐掃把星去尞,嗄分壞心个竹仔關著,好得山汫(sanzian)救𠊎,這下總算做得轉去天頂了。」
「そうか、それはよかったね。でもどうして、ぼくの名まえを知ってるの?」
「係啊?恁樣盡好,你仰會知𠊎个名仔?」
「天の子はね、世界中の事をみんな知っているんだよ」
「天公个倈仔,世上个事麼个𠊎都知。」
「ふーん、すごいね。それで、きみの名前は?」
「哼,還慶哪,該你安到麼个名?」
「ぼくの名前は、竹の子童子(たけのこどうじ)だよ」
「𠊎个名仔安到竹筍童子。」
「竹の子童子か。いくつ?」
「安到竹筍童子係無?幾多歲?」
「ぼくの年かい?まだ、たったの千二百三十四才だよ」
「問𠊎幾多歲?斯正一千二百三十四歲定。」
「うへぇ!」
「ha24!」
三ちゃんがビックリすると、竹の子童子はニコニコして言いました。
山汫(sanzian)著驚一下,竹筍童子笑咪咪講:
「助けてもらったお礼に、三ちゃんの願いをかなえてあげるよ」
「報答你幫忙个恩情,山汫(sanzian)請講出你个願望,𠊎來替你圓夢。」
「ほんとうかい?」
「正經係無?」
「ほんとうさ。天の子は、うそをつかないんだ。それで、何が願いだい?」
「當然正經,天公个倈仔,無講耗漦,請講出你个願望。」
三ちゃんは、しばらく考えてから答えました。
山汫(sanzian)想一下斯講:
「ぼくを、お侍にしておくれ。強いお侍になって武者修行(むしゃしゅぎょう)にいきたい」
「摎𠊎變做武士,一個武功高強个武士,愛去練武。」
「よし、じゃ、目をつぶって」
「好,請目眨眨一下。」
三ちゃんが目をつぶると、竹の子童子が大きな声で言いました。
山汫(sanzian)目珠眨下來个時節,竹筍童子斯大聲講:
「竹の子、竹の子、三ちゃんをお侍にしておくれ。・・・ほら三ちゃん、お侍になったよ」
「竹筍,竹筍,摎山汫(sanzian)變做一個武士。‧‧‧噯山汫(sanzian)、變做一個武士了。」
三ちゃんが目を開けると、そこはにぎやかな京の都で、三ちゃんはいつの間にか立派なお侍になっていました。
等山汫(sanzian)擘開目珠个時節,該位係鬧熱个京都,毋知哪量時變做一個派頭个武士。
「わあ、ほんとうにお侍だ! 竹の子童子、ありがとう」
「哇,正經係武士,竹筍童子承蒙你。」
三ちゃんが手のひらを見ると、竹の子童子はいなくなっていました。
山汫(sanzian)看佢个手巴掌个時節,竹筍童子消失,毋見忒了。
おしまい
煞咧
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