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第 70話

お経をよむ木仏

お経をよむ木仏
東京都の民話東京都情報

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 むかしむかし、本郷竹町(ほんごうたけちょう)のあるお寺で、古い木仏をまつっていました。
 ある年の事、だれもいない本堂から、にわかにお経をよみあげる声が聞こえてきたのです。
 さあ、寺中は大騒ぎで、坊さんたちも小僧さんたちも、みんな本堂に集まってきました。
 そこらを見まわしましたが、あやしい者はいません。
 ただ一人、木仏さまが静かに座って、お経をよんでいるのです。
「ありがたや、ありがたや」
と、坊さんたちは手をあわせて、念仏をとなえました。
 この話は、あっという間に江戸中に広がりました。
「木仏さまが、お経をよまれるとは不思議な事じゃ」
「おまいりすると、ご利益があるかもしれん」
と、いうわけで、あちこちから、おまいりをする人が押し寄せて来ました。
 それで寺の前には市が立つし、茶店までがならぶほどのありさまです。
 さて、ある晩の事。
 一人の男がこの不思議な木仏さまを盗み出そうと、寺に忍び込みました。
 ろうそくのあかりでてらして見ると、木仏さまは、だまってすわっています。
「よしよし、これを物好きな金持ちに売れば、一財産が出来るぞ」
 あかりを消した男は、そーっと、仏さまをかかえました。
 するとにわかに、お経がはじまったのです。
「ギャーッ!」
 どうぼうは思わず仏さまをはなして、飛び上がりました。
 そして、はれあがった顔をおさえて、泥棒は逃げてしまいました。
 この話しが寺社奉行(じしゃぶぎょう)の耳に入り、奉行所ではさっそく役人を出して、詳しく調べさせることにしたのです。
 役人が恐る恐る木仏に近づいて、じいっと耳をすますと、たしかにお経をよむ声がします。
「これは、不思議だ」
「ほうってはおけん」
「原因をつきとめねば」
 役人たちの言葉を聞いた和尚さんは、びっくりして、
「どうか木仏さまに、手荒な事はなさいませぬように」
と、しきりに頼みます。
 しかし役人は、よってたかって木仏を台からひきずりおろすと、
「えいっ!」
と、ばかり、床の上に押し倒しました。
 すると、
 ブーン!
 ブーン!
と、ものすごい勢いで、たくさんのハチが飛び出したのです。
 実はこの木仏はハチの巣になっていて、ハチの羽音が木仏の中で響いて、お経をよんでいるように聞こえたのでした。

おしまい

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