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第 126話
巨大な魚のタマゴ
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むかしむかし、鎌倉(かまくら)や葉山(はやま)の海が、突然まっ赤にそまったのです。
「何だこれは! 海が血のように赤いぞ!」
「何か悪い事が起こる、前ぶれではないのか!」
みんながびっくりしていると、うわさを聞いたお坊さんが海辺へやって来て、赤い水を調べ始めました。
手に取ってみると水はネバネバとしたおかゆのようで、中に赤いアワ(→鳥のエサになる、イネ科の一年草)のような粒がびっしり入っています。
浜の人が、お坊さんにたずねました。
「長年漁師をしていますが、こんな事は生まれてはじめてです。なにか、大きな災(わざわ)いでもあるのですか?」
するとお坊さんは、こんな話をしました。
「この海の東のかなたには、とてつもなく巨大な魚がそうじゃ。
何しろ一日目にその魚の頭を見たなら、尾を見るのは七日目の事という。
そしてその巨大な魚がタマゴをうむとき、海の色がまっ赤になるという。
おそらく、その巨大な魚がタマゴをうんだのであろう。
災いが起こるかどうかはわからぬが、用心しておくにこしたことはない」
浜の人々は災いにそなえて、いつでも逃げられる準備をしましたが、赤い海は五、六日たつと元の美しい海にもどって、心配した災いも起こらなかったそうです。
おしまい
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