むかしむかしの、あるクリスマスの前の晩でした。 女の子のマリーは、お父さんとお母さんから、とってもすてきなプレゼントをもらいました。 おいしそうなお菓子、おもちゃのウマ、ネジで動く兵隊(へいたい)さん、それから、とてもすばらしいお城。 マリーがクルミ割り人形を抱いて、そう言った時です。 すると、どうでしょう。 もちろん、マリーに抱かれていたクルミ割り人形も立ちあがって、いさましく戦いました。 ところが、ネズミは大勢です。 そこで思わずマリーは、自分のクツをネズミの大軍に投げつけたのです。 ネズミたちはビックリして、逃げて行きました。 次の晩、またネズミの大軍がマリーの部屋にやって来ました。 「おい、ちびすけ。おれたちにお菓子を寄こせ。寄こさないと、クルミ割り人形を殺してしまうぞ」 ところが次の晩も、その次の晩も、ネズミたちはやって来るのです。 「ぼくに、刀を貸してください。そうしたら、ネズミたちをやっつけてやります」 そこでマリーがおもちゃの刀を持たせてやると、 クルミ割り人形はネズミの王さまと戦って、とうとう王さまを倒してしまいました。 「刀を貸してくれてありがとう。お礼に、あなたを人形の国に連れて行ってあげましょう」 クルミ割り人形は、マリーを楽しい人形の国へ連れて行ってくれたのです。 朝になって、マリーは家の人にその話をしました。 「マリー、それは、あなたが夢を見ていたのよ」 「そうだよ。だいたい、そんなばかな事があるはずないじゃないか」 (そうね。夢だったのかも) ところが、それから何年かたったある日の事です。 始めて見る顔ですが、マリーは若者とどこかで会った様な気がしました。 「わたしは、あなたのおかげで人間に戻る事が出来たクルミ割り人形です。 でも、あなたが貸してくれた刀でネズミの王さまを倒し、やっと人間になれたのです」 それを聞いて、マリーはすっかりうれしくなりました。 「はい」 これはマリーの夢なのか、それとも本当の事なのか、マリーにもわかりません。 おしまい |
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