6月13日の世界の昔話
むかしむかし、ズルタンという、年取ったイヌがいました。 ある日、ズルタンは飼い主のお百姓(ひゃくしょう)さん夫婦(ふうふ)が、ヒソヒソ話をしているのを聞きました。 「あのイヌは歯が一本もなくて、泥棒もつかまえられない。 ズルタンは悲しくなって、仲の良いオオカミに会いに行きました。 すると、オオカミが言いました。 森の中で、あんたに子どもをわたしてやるよ。 飼い主はあんたがオオカミから子どもの命を救った思って、きっと大事にしてくれるようになるぜ」 オオカミの計画は、とてもうまくいきました。 すっかり楽な暮らしになったズルタンに、今度はオオカミがこんな事を言いました。 「それはだめだ。ほかの事ならともかく、ヒツジを守るのはワシの仕事だ」 オオカミはズルタンに、腹を立てました。 だけどオオカミと年寄りのズルタンでは、オオカミの勝ちに決まっています。 でもズルタンの助太刀なってくれるのは、同じ家に住んでいる三本足のネコしかいませんでした。 ネコは歩くと足が痛いので、尻尾をピンと高く立てていました。 オオカミはイノシシに助太刀を頼み、森の中で待ちかまえていました。 ところがネコのまっすぐな尻尾が長い剣に見えたので、びっくり。 怖くなったオオカミとイノシシは、草のしげみにかくれました。 「あっ、ぼくの大好物のネズミだ!」 イノシシはひめいを上げて逃げていきました。 オオカミはビクビクかくれているところを見られて、とてもかっこ悪く思いました。 「歯が一本もなくても、あんたは強いイヌだ。 もう、あんたの家のヒツジをおそうことはしないよ」 ズルタンとオオカミは、また仲直りしました。 おしまい |
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