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1月8日の日本の昔話

こぶとりじいさん

こぶとりじいさん

 むかしむかし、あるところに、ほっぺたに大きなこぶのあるおじいさんがすんでいました。
 おじいさんがまきをわるたびに、ほっぺたのこぶが、ブルルン、ブルルン。
 それはそれは、とてもじゃまなこぶでした。
 でもこのおじいさん、そんなことはちっとも気にしない、のんきなおじいさんです。
 おなじ村に、もう一人、ほっペたにこぶのあるおじいさんがすんでいました。
 こっちのおじいさんは、このじゃまなこぶが気になってか、いつもイライラおこってばかり。
 ある日、のんきなおじいさんは、森のおくで木を切っていました。
 すると、いつのまにやら、ポツリ、ポツリとふりだした雨が、とうとうどしゃ降りになってしまいました。
 おじいさんは、大きな木のうろにとびこんで雨やどりをしました。
 そのうち、このおじいさん、ウトウトとねむりこんでしまったのです。
 雨がやんでも、月が出ても、グーグー、グーグー、高いびき。
 いつのまにやら、日もとっぷりとくれて、真夜中になってしまいました。
 するとどこからか、にぎやかなおはやしの音が聞こえてきたではありませんか。
「おや、どこからじゃろ?」
 目をさましたおじいさんは、その音のするほうへ近づいていって、それはもうビックリ。
 この森のおくにすむ鬼たちが、歌いおどっていたのです。
♪ピーヒャラ、ドンドン。
♪ピーヒャラ、ドンドン。
 赤い鬼、青い鬼、大きい鬼、小さい鬼。
 みんな、飲んで歌っての大にぎわいです。
 見ていたおじいさんは、こわさをわすれて、おもわずおどりだしてしまいました。
 おどろいたのは、鬼のほうです。
「あんれ、おもしれえおどりじゃ」
 おじいさんのおどりが、あまりにも楽しいので、こんどは鬼のほうが、おじいさんといっしょにおどりはじめました。
 そしてとうとう、鬼のおかしらが立あがって、おじいさんと手をとりあっておどります。
 のんきなおじいさんと陽気な鬼たちは、時がたつのもわすれておどりつづけました。
 そのうちに、東の空が明るくなってきました。
 もう、夜明けです。
「コケコッコー」
「ややっ、一番どりがないたぞ」
 朝になると、鬼たちは自分のすみかに帰らなくてはなりません。
「おい、じいよ、今夜もおどりにこいよ。このこぶをあずかっておくからな。今夜きたら返してやる。えい!」
 鬼のおかしらは、おじいさんのこぶをもぎとってしまいました。
 おじいさんは、思わずほっペたをなでました。
「おおっ、こぶがない」
 きずものこさず、こぶはなくなっていたのです。
 村へ帰ったおじいさんは、うれしさのあまり、もう一人のこぶのおじいさんに、ゆうべのことを話しました。
「なに! 鬼がとってくれただと」
 こっちのおじいさん、うらやましいやらくやしいやら。
「よし! わしもとってもらおう」
と、夜になると森のおくへ出かけていきました。
 やがて、おはやしの音が聞こえてきました。
 このおじいさん、心が暗い人でしたから、陽気な鬼のおどりを見ても、すこしも楽しくなれません。
 おどる鬼たちを見て、ただ、ブルブルとふるえているだけです。
 でも、鬼のところへ出ていかないと、こぶはとってもらえません。
 おじいさんは、思いきって鬼の前に出ていきました。
「よっ、まってました!」
 鬼たちは大よろこびです。
 でも、おどりなんか大きらいなこのおじいさん。
 楽しいおどりをおどれるはずはありません。
「・・・・・・!」
 とてもへたなおどりに、鬼のおかしらは、だんだんきげんがわるくなってきました。
「二度とくるな、こんなもの返してやる!」
 ペタン!
 おじいさんは、ほっぺたにもう一つのこぶをつけられてしまいました。

おしまい

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