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9月19日の日本の昔話

仏さまに失礼

仏さまに失礼

 むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん→詳細)と言う、とんちで評判の小僧さんがいました。
 とんち名人の一休さんには、さすがの和尚(おしょう→詳細)さんもかないません。
 けれど、
「いっぺんでもいいから、一休をへこませてやりたいもんじゃ」
と、つねづね思っていました。
そこである晩、
「これ、一休や。わしはうっかりしておって、本堂のローソクを消すのを忘れてしもうた。火を出しては仏さまに申し訳ない。すまんが消してきておくれ」
 休さんは大急ぎで本堂へ行きましたが、ローソクの台が高くて、手が届きません。
 さすがに困ってしまい、しょうがないので一休さんは、飛び上がって息で吹き消したのです。
 部屋へもどってきた一休さんを見て、和尚さんは聞きました。
「おお、ご苦労じゃったな。じゃが、あんな高い所の火を、どうやって消したのじゃ?」
「はい、飛び上がって吹き消しました」
 その言葉に、和尚さんはニヤリと笑うと、
「馬鹿者! 仏さまに息を吹きかけるとは、なんと失礼な! もう二度とするでないぞ! わかったな!」
 初めて一休さんをしかった和尚さんは、してやったりと得意顔です。
 さて次の日、本堂でお経をあげていると、なんだか後ろの様子が変です。
 ふと、和尚さんがふり返ってみると、なんと一休さんが、お尻を向けて座っています。
「ふん。いくらとんち上手でも、やはり子どもじゃ。きのうしかられたので、すねておるんじゃな」
 和尚さんはそう思い、
「これ一休、お経をあげるときは、仏さまの方を向かんか、行儀が悪いぞ」
と、得意そうに注意をしましたが、
「和尚さま、仏さまのほうを向いてお経をあげては、息がかかります。それでは仏さまに失礼になります」
「・・・いや、これはやられたわい」

おしまい

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