2年生の江戸小話(えどこばなし) 
        
      最後(さいご)のうそ 
         
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       むかしむかし、あるところに、うそつきの名人(めいじん)がいました。 
   その名人(めいじん)は、年を取(と)って体(からだ)が弱(よわ)くなり、もうすぐ死(し)ぬばかりとなりました。  
  「うそつき名人(めいじん)といっても、悪(わる)いうそはつかず、うそで人をわらわせる、いい人だった」 
   みんな、そういって、うそつき名人(めいじん)のところへ集(あつ)まってきました。  
   すると、うそつき名人(めいじん)は、小さな声(こえ)でいいました。  
        
              「みなさん、どうか元気(げんき)でくらしてください。 
         そのためのお金を、少(すこ)しばかり用意(ようい)しています。 
         わたしが死(し)んだら、この家(いえ)のゆか下を掘(ほ)ってみてください。 
         つぼの中に、お金が入ってます」 
         まもなく、うそつき名人(めいじん)は亡(な)くなりました。  
         お葬式(そうしき)がおわると、みんなは、ゆか下を掘(ほ)ってみました。  
        
               うそつき名人(めいじん)がいったとおり、つぼが出てきました。  
         そのつぼのふたを取(と)ってみると、一枚(いちまい)の紙(かみ)が入っていました。  
        
               その紙(かみ)には『みなさん、これがわたしの最後(さいご)のうそです』と、書(か)いてありました。  
      おしまい 
        
       
         
         
        
      
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