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2月24日のイソップ童話
  
  
  
よっぱらいとおかみさん
    亭主が大酒のみでこまっているおかみさんがいました。
    なんとかして、よっぱらいのくせをなおそうと、さんざん考えて、1つの作戦を思いつきました。
    亭主がいつものようにグデングデンによっぱらって、死んだようにねむりこんでいる時をねらって、おかみさんは亭主の肩をかついで、墓地までいきました。
    そして、かこいの中のお墓のあいだにねかせて、自分はうちへかえりました。
    しばらくして、そろそろ、よいがさめかけたと思うころ、おかみさんはまた墓地にもどって、かこいの戸をドンドンたたきました。
  「だれだ、戸をたたいているやつは」
  と、よっぱらい亭主がいいました。
  「死んだ人たちに食べ物を運ぶものであるぞ」
  と、おかみさんはおもおもしい声でいいました。
    するとよっぱらい亭主は、
  「食べ物なんかいりません。どうぞ、わたしに酒を持ってきて下さい。食べ物だけで酒がないとはひどいです」
  と、いうではありませんか。
    おかみさんは、むねをかきむしってさけびました。
  「ああ、なんとなさけないことだろう。おまえさんには、せっかくの作戦もぜんぜんききめがないんだからねえ。こりるどころか、ひどくなるばっかりだよ。よっぱらうことがくせなんかでなくて、まるで、生まれつきの性質みたいになってしまっているのだから」
  
    この話は、よくないことをくりかえしくりかえしていると、知らないうちに習慣が身に付いてしまって、なおらなくなるから気をつけなければいけないとおしえています。
おしまい