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7月7日のイソップ童話
  
  
  
白鳥と主人
    白鳥は、死にぎわに美しい声でなくといわれています。
    ある人が白鳥を売りに出ているのをたまたま見つけました。良い声でなく鳥だと聞いていたので、この人はその白鳥をかってかえりました。
    ある日、この人はおおぜいのお客を呼んで、宴会を開きました。
    それで、白鳥を連れてきて、えんかいのよきょうに歌を歌ってくれとたのみました。
    しかし、白鳥はひと声もなきませんでした。
    おこった主人は、その日から白鳥にエサをあたえませんでした。
    その後しばらくして、白鳥はもうじき死ぬことがわかったので、悲しみながら美しい声でなきました。
    それを聞いた主人は、
  「なんだ、おまえは死にかけたときしかなかないのか。そうとわかっていたら、あのとき歌ってくれとたのむかわりに、おまえを殺せば良かったのに。まあいい、目当ての鳴き声は聞けたのだから、おまえは用なしだ。どこへでもいくがいい」
  と言って、白鳥を逃がしてやりました。
  
    他人にむりやりめいれいしても、なかなかいうことを聞いてくれないものです。
おしまい