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7月13日のイソップ童話
  
  
  
小ガラスとハト
    ハト小屋でおいしいエサをたくさん食べているハトを見た小ガラスが、
  「ぼくもあのごちそうを、食べたいな」
  と思って、黒い羽を白くぬってハト小屋に入っていきました。
    小ガラスがだまっているあいだは、ハトたちは羽の色だけ見てハトだと思ったのでなかまに入れてくれました。
    ところが、あるとき、小ガラスはうっかりして、
  「カァ」
  と、ないてしまったのです。
  「あれっ、へんな声でなくやつだ」
    ハトたちはこの小ガラスを追い出してしまいました。
    小ガラスはハトたちのごちそうが食べられなくなったので、小ガラスのなかまのところへかえってきました。
    しかし小ガラスは、
  「おや、へんな白い鳥だ。追い返せ」
  と、つつき出してしまいました。
    こうして、小ガラスは欲ばったために、ハトのエサも小ガラスのエサももらえないことになったのです。
  
    この話は、自分の持っているものだけでなく、他人のものまで手に入れようと欲ばると、さいごには自分のものも失ってしまう事があると、おしえています。
おしまい