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7月13日の小話

かみのふんどし
   いくにちも、めしにありつけないでいた、ろうにん(お城ではたらいていない武士の事で、たいていが貧乏)が、となりの家によばれました。
  「むぎめしだが、えんりょなく、おたべなさい」
  「これはかたじけのうござる。それでは、おことばにあまえまして」
   さあ、ろうにんのたべること、たべること。
   となりの家のひとがしんぱいするほどたべて、さらに、おかわりをたのみました。
   すると、ろうにんのおおきくなったはらが、
  パチン!
  と、なりました。
   それを聞いて、家の人がおどろきました。
   たべすぎて、ろうにんのはらがやぶれたにちがいないと、思ったからです。
  「たいへんだ! いそいで、てあてをせねばなりますまい。まずは、おびをときなされ」
   すると、ろうにんは、きまりがわるそうにあたまをかくと、
「しんぱいない。金がないので、かみで作ったふんどしのひもが、きれただけじゃ」
おしまい