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1月10日の小話

なぞなぞ
   なぞなぞの大好きなだんながおりました。
   こぞうをつかまえては、
  「おい、なぞなぞをしよう。目がふたつあって、足が四本、鼻はずっと長く、毛のはえたもので、白いものは、なあーんだ」
  「へえ、それは、象でしょう」
  「おお、よくといた、よくといた」
   いつもこんなぐあいで、相手にされるこぞうさんも、たまったものではありません。
   たまには、こちらからなぞなぞを出して、だんなをへこましてやろうとおもいました。
   そこで、ある日。
  「それでは、だんなさま。目玉が九つ、鼻が七十八、耳が三千三百十六、足が六百七十九本あって、色が白いようで黒く、赤いようで黄色く、毛の長いものは、なあーんだ」
  「うーん。それはむずかしい。・・・なんだろう?」
   するとこぞうさん、ここぞとばかりに、
  「だんな、たいしたものじゃありませんよ。かんたんにわかるものです」
  「うーむ。どうしてもわからぬ。たのむから、種明かしをしてくれ」
   だんなは、こうさんしていうと、こぞうさんは、
「そいつは簡単、化け物さ」
おしまい