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1月11日の小話
小便
   ある男が、小雨のふる夜中に、ふと小便がしたくなって目がさめました。
   便所までいくのがめんどうくさいので、ろうかの戸を一まいあけて、えんがわから小便をしておりましたが、いつまでたっても、小便がとまりません。
   長い時間、小便をしていましたが、いっこうにとまるけはいがありません。
   そのうち、女房が心配してやってまいりました。
  「なにをいつまでしているのですか」
  「どうも今夜は、たくさん小便が出るんだ。ほれ、いつまでたっても音がとまらん」
「まあー、なにを寝ぼけて。それは、やねから雨がおちている音ではありませんか」
おしまい