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2月11日の小話
浪人のこたつ
   雪のふる、寒い日のことです。
   浪人(ろうにん→お城で働いていないお侍さん →詳細)のところへ、友だちの浪人が遊びにいってみると、なんと、あたたかそうなこたつ(→詳細)にあたっています。
  「おい、こたつとは、ごうせいだな。どこで手に入れた?」
  と、友だちがいうと、浪人はわらいながら手をふり、
  「いやいや。実はな、犬にふとんをかぶせただけの、犬ごたつなんだ。だが、これが、なかなかにあたたかでな。おまえもどうだ」
  「ほほう。そいつは名案。では、ちと、あたらせてもらおう」
   友だちが、足を入れたとたん、
  「おおっ!」
   さけびながら、目を丸くします。
  「どうした? そんなにあったかいか?」
「いや、ちきしょうめ。こたつに、足を食いつかれた」
おしまい