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3月13日の小話

金がかたき
   ふたりの男が、話しあっていました。
  「おれは、金というやつはかたきとおもうが、おまえは、どうだ?」
  「まったくだ。金のために、命をなくしたやつもある」
  「だから、おれは、金を見ると、すぐに、使ってしまうんだ」
  「なるほど。それがよい。かたきは、なくしてしまうにかぎる」
  「だがな、さいきんはかたきに」
  「めぐりあわぬなあ」
 ふたりは、そういって、大きなため息をつきました。
おしまい