
  福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 5月の江戸小話 > だくだく
5月16日の小話
だくだく
   ひょうたん屋のごん三郎のところに、どろぼうが入ろうとしていました。
   ところがどっこい、ごん三郎は、どろぼうに気がついて、戸のうちがわで、ヤリをかまえて待っておりました。
   いまかいまかと、待ちかまえていますが、どうしたわけか、どろぼうが、なかなか入ってきません。
   いいかげん待ちくたびれたころ、やっと、がらりと戸があいて、どろぼうが入ってきました。
   すっかり気がぬけてしまっていたごん三郎は、うっかりヤリを下へおとしてしまい、仕方がないので、あわてて口で、
  「ぐさり!」
  と、いうと、どろぼうのほうもこころえたもので、返事に、
「血がだくだく」
おしまい