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1月26日の日本民話

送りオオカミ

送りオオカミ
三重県の民話

 むかしむかし、あるところに、伝次(でんじ)という名のおじいさんが住んでいました。
 おじいさんは山奥の谷間に、小さな畑をつくってたがやしていました。
 ところがせっかくできた作物も、イノシシが出て来て食い荒らすので、こまったおじいさんはイノシシの落ちる大きな落し穴を作ったのです。
 ある日の事、おじいさんが畑に行くと、落し穴に何か落ちています。
 見てみるとそれはイノシシではなく、大きなオオカミでした。
 おじいさんは穴の中へ下り、オオカミを助けだしてやりました。
 オオカミはおじいさんにお礼をいうと、それからはおじいさんが畑から帰るたびに、送ってくれるようになりました。
 またある日の事、今度はタヌキが落し穴に落ちて、助けを呼んでいます。
 おじいさんはタヌキを助けだしましたが、タヌキは助けてくれたおじいさんにかみついてきました。
 おじいさんはたいへん怒って、タヌキを殺してしまいました。
 それを見たオオカミがいいました。
「タヌ公はバカな奴だ、せっかく助けてもらったのにかみつく奴があるか、どうせかみつくなら、オオカミのおれにかみつけばいいものを、そうすればタヌ公はお山の大将になれたのに」
 これを聞いたイノシシは、
「おれのためにつくった落し穴に、オオカミやタヌ公が落っこちやがった」
と、いって、笑いがとまりませんでした。

おしまい

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