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福娘童話集 >節分特集 >節分の豆まきのいわれ
せつぶんのお話し 第 6 話
節分の豆まきのいわれ
中国山地の民話 → 中国山地の情報
むかしは、二月三日の節分の日は今の様な豆まきの日ではなくて、幸せを祈りに神社やお寺へお参りに行く日だったそうです。
ところが、そのお参りに行く人たちを、鬼たちが襲って食べるようになったのです。
それを知った神さまが、鬼の親分を呼び出して言いました。
「お前たちは、わしの所へ幸せを祈りにやってくる人間を食べているそうだな」
「はい、その通りです。しかし、むかしから鬼は人間を食うもの。他の食べ物では、体に力が入りません」
すると神さまは、鬼に豆粒を差し出して言いました。
「それでは、お前たちに豆をやるから、この豆を育てて実らせてみろ。見事に豆が実ったなら、今まで通り人間を食べてもよい。その代わり、もし豆が実ならなかったら、人間を食べるのは止めるのだ。どうだ、約束するか?」
鬼の親分は、笑いながら約束しました。
「豆を実らすなど簡単な事。約束しよう」
そして神さまから豆をもらった鬼の親分は、子分の鬼たちと畑を耕すと、豆をまいてたっぷりと水をやりました。
ところが、いつまでたっても芽が出てきません。
「おかしい。こんなはずでは・・・」
鬼の親分は、神さまのところへ行って尋ねました。
「あの、神さま。もらった豆が変なんです。もしかして、豆が腐っていたのでは?」
「何を言う、わしも同じ豆を畑にまいたが、ちゃんと育っているぞ。見てみるが良い」
鬼の親分が神さまについて行くと、そこには青々とした豆畑が一面に広がっていました。
それを見て、鬼の親分は首を傾げました。
「おかしいな。なぜ、おれたちの豆は芽を出さんのだろう?」
「それでは、もう一度やってみるか?」
鬼の親分は神さまからもう一度豆をもらうと、喜んで帰っていきました。
実は、神さまが鬼に与えた豆は、火にかけて炒った豆なのです。
これでは、どんなに頑張っても芽が出るはずがありません。
しばらくすると、また鬼の親分が神さまのところへやって来ました。
「神さま、豆がどうしても芽を出さないのです」
「それは、お前たちが人間を食べたりするからだ。何なら、もう一度豆をやろうか?」
神さまが言うと、鬼の親分は首を振って言いました。
「いや、もう豆を見るのも嫌じゃ。約束通り、人間は食わない。・・・だけど、道で転ぶほど弱った人間くらいは食わせてくれ。ただし、疲れて転んだ人間は食わんから」
鬼の言葉に、神さまは少し考えてから頷きました。
「よし、いいだろう」
そして鬼の親分が帰ると、神さまは人間たちにこう言いました。
「人間たちよ。もし道で転んだ時は、早口で『疲れた、休もう』と言うのだ。そうすれば、鬼が襲ってくることはない。それから、鬼は炒った豆が大嫌いじゃ。鬼が現れる節分の日は、炒った豆を鬼に投げつけてやるといい」
それから人間は、道で転ぶと、
「疲れた、休もう」
と、言うので、鬼は手を出す事が出来なくなりました。
そして、節分に炒った豆を鬼に投げつけるのも、この時からだそうです。
関連する記念日紹介
「節分」について (366日への旅)より
記念日イメージキャラ 福ちゃん イラスト「ぺんた」 ※無断転載禁止
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