福娘童話集 > 新作の紹介 福娘童話集 きょうの新作昔話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
     1月29日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
南極「昭和基地」設営記念日
きょうの誕生花
きんかん
きょうの誕生日・出来事
1977年 宝生舞(俳優)
  1月29日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
聴き耳ずきん
きょうの世界昔話
魔法のビール
きょうの日本民話
キツネの倉
きょうのイソップ童話
オオカミと馬
きょうの江戸小話
けち自慢
広告
 


福娘童話集 > きょうの新作昔話 > かぶと島

2009年 1月29日の新作昔話

かぶと島

かぶと島
長崎県の民話長崎県情報

 今から四百年ほど前、長崎の町に、お小夜(さよ)という美しい娘がいました。
 お小夜はキリシタンで、その美しい姿は絵に描かれたマリアさまにそっくりなので、人々は『マリアのお小夜』と呼ぶほどでした。
 その頃、南蛮寺(なんばんでら→キリスト教会)の門の前で花売りをしている、与次郎(よじろう)という若者がいました。
 お小夜は毎日、与次郎の花を買っては南蛮寺にお供えしていたのですが、いつしか二人は恋仲になっていたのです。
 やがて二人のことが、町のあちこちで噂されるようになりました。
 当時キリシタンには、他の宗派の男女と付き合ってはならないという厳しい掟があったのです。
 ある晩、二人は人目をさけて浜辺で出会っていました。
 ところがこれを、神父に見られてしまったのです。
 捕まった二人は、とても厳しいおしおきを受けました。
 特に与次郎の方は、キリシタンをたぶらかした極悪人として、長崎港の沖に浮かぶ、かぶと島へ島流しにされたのです。
「お小夜。夜になったらかぶと島を眺めてくれ。私は毎晩赤い灯をともす。赤い灯が見えるかぎり、私は生きているから」
 与次郎はお小夜にそれだけを言い残すと、かぶと島へ送られました。
 それからというもの、お小夜は夜ごと浜辺に出ては、かぶと島を眺めました。
 日も暮れる頃、島にボーッと赤い灯がともります。
 その灯を眺めては与次郎を思い、涙を流す毎日でした。
 でも、これを神父たちはこころよく思いません。
「与次郎は、信者を惑わす悪魔じゃ。悪魔には、神罰が下さるべきだ」
 さて、次の日の夜、お小夜がいくら待っても、かぶと島に灯はともりませんでした。
 その日の夜明け、お小夜は、まるで何かにつかれたかのようにふらふらと歩き出して、一歩一歩、海の中に足を踏み入れたのでした。
「与次郎さま。来世では必ず結ばれましょう」
 翌朝、かぶと島の波打ち際に、並んで倒れている男女の死体があがったそうです。

おしまい

ページを戻る

新作の紹介メニュー

福娘童話集

新作の紹介
福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
女の子応援サイト さくら
職業紹介・誕生日占い・おまじないなど
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識