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百物語 第214話

子守り娘のお伊勢参り

子守り娘のお伊勢参り
徳島県の民話徳島県情報

 むかしむかし、ある村の油屋に、十三才になる子守り娘(こもりむすめ)がいました。
 ある日の事、この子守り娘は自分が子守りをしている油屋の三才の息子を背負って、こっそり伊勢神宮(いせじんぐう)へお参(まい)りにでようとしたのです。
 けれど、家の奥さんに見つかって、取り押さえられてしまいました。
「この子はまだ、わたしのお乳をのんでいるんだよ。どうしてもお伊勢さんにお参りしたいというなら、お前一人でいっておいで!」
 奥さんはそういって、背負われていた息子を取り戻すと、子守り娘だけをお伊勢参りにいかせました。
 ところが子守り娘が出かけてすぐ、どうしたことか、元気だったその油屋の息子が急に死んでしまったのです。
 突然の事に、油屋の家の者たちは悲しみに沈んでいました。
 ある日の事です。
「ただいま、もどりました」
 元気な声がして、お伊勢参りにいっていたあの子守り娘が帰ってきました。
 家の中に入ってきた子守り娘は、いつものように背中に子どもを背負っています。
 のぞきこむと、その子はなんと、このあいだ亡くなった三才の息子ではありませんか。
「こ、こ、これは、どういうことじゃ?」
 家の者たちは、あまりの事に言葉もありません。
 騒ぎをきいて、近所の人たちもやってきました。
 子守り娘は背中の子どもをたたみの上におろして、手ぎわよくぬれたおしめをとりかえました。
 そして、
「ここはお家よ。さあ、ゆっくりおねんねしなさいね」
 そういって、子どもをふとんに寝かしつけたのです。
 油屋の主人は、これが夢やまぼろしでないことに気づくと、村のお寺へ走っていきました。
 そして、この不思議な出来事を和尚(おしょう)さんに話しました。
「よし、では墓を調べてみよう」
と、和尚さんがさっそく油屋の息子のお墓を調べてみると、なんとお墓は空っぽで、中には伊勢神宮のおはらいのお札が一枚入っていたという事です。

おしまい

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