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百物語 第250話

カッパ岩

カッパ岩
宮崎県の民話宮崎県情報

 むかしむかし、ある川の中に、一匹のカッパがすんでいました。
 ある日の事、子どもたちが大勢集まって、川の中に白い小石を投げ込んではひろってくるという遊びをしていました。
 するとそこへ、川から顔を出したカッパが言いました。
「楽しそうだな。おれも仲間に入れてくれ」
 子どもたちは、カッパが子どもの尻子玉(しりこだま)を取って食べる怖ろしいやつだと聞いていたので、みんな逃げだそうとしていました。
 するとカッパは、
「おれと勝負をして、勝った者にはこの魚をやるぞ」
と、くしにさした魚を見せたのです。
「よし、それなら勝負しよう」
 こうしてカッパと子どもたちは勝負を始めましたが、何度やってもカッパには勝てません。
 たまりかねた、一番大きな子どもが、
「よし、今度はおらが相手になってやる」
と、小石を深いところへ投げ込んで、カッパと一緒に川へ飛び込んだのです。
 子どもたちは、どっちが早く石をひろって来るかを見まもっていました。
 でも、いくら待っても、どちらもあがっては来ません。
 この話しを子どもたちから聞いた村人たちは、夜になってもかがり火をたいて探しましたが、とうとう子どもは見つかりませんでした。
 さて次の日、村人たちが子どもをさがしていると、昨日のカッパが姿をあらわしたのです。
 村人たちはカッパつかまえると、子どもをどこへやったと問いただしました。
 するとカッパは、
「子どもの尻があまりにもうまそうだったので、尻子玉を抜いて食っちまった。そしたら子どもはそのまま水に流されて、どこかへ行ってしまった」
と、言うのでした。
「なんだと! このカッパめ、たたき殺してやる!」
 村人たちが、カッパを殴りつけると、
「許してください。おれが悪かった」
と、カッパは涙を流しながらあやまりました。
 それを見た村人たちは、
「じゃあ、二度と子どもの尻子玉は抜かないと約束するなら許してやる。川の中にある、あの大きな岩が腐(くさ)るまでは、決して悪さをしてはならんぞ」
と、言って、カッパを放してやったのでした。
 それからというもの、カッパはこの約束を守って悪さをしなくなりました。
 それでも時々は、この岩に登って来ては、
「この岩、まだ腐らんのじゃろか」
と、いいながら、岩を水かきのある手でなで回すという事です。

おしまい

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