百物語 日本の怖いお話し 福娘童話集 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
- 広 告 -
 


福娘童話集 > 日本のこわい話(百物語)

百物語 第259話

大蛇と戦った男

大蛇と戦った男
熊本県の民話熊本県情報

 むかしむかし、天草(あまくさ→熊本県の天草市)のある村に、熊蔵(くまぞう)というお百姓(ひゃくしょう)がいました。
 熊蔵は背の高い大男で、大変な力持ちです。
 ある日の事、熊蔵が村はずれの谷間にある畑にこやしをまいていると、山から六、七メートルもある大蛇(だいじゃ)がはいだしてきました。
 大蛇は真っ黒な舌をペロペロとだし、まっすぐ熊蔵にむかってきました。
 熊蔵は畑や家の庭先などで小さなヘビをいじめたりしているので、親分がうらみをはらしにきたのかと思いました。
 熊蔵はあわてて逃げようとしましたが、畑の土に足をとられて、思うように逃げられません。
 近づいてきた大蛇が熊蔵に大きな口を開けたとき、熊蔵はこやしのおけをかついできたてんびん棒をふりあげて、むかってきた大蛇を何度もたたきました。
 ところがいくらてんびん棒で打ち付けても、鉄か石をうったような音がするだけで、大蛇にはまるで通じません。
 熊蔵はてんびん棒を放り投げると、大蛇にいいました。
「まて、まて。ちょっとまて。おらには親もあれば兄弟もおる。これから家へ帰って、いとまごい(→別れのあいさつ)をしてくる。それから死ぬか生きるかの勝負だ。必ず戻ってくるから、お前はここでまっていろ。いいか、ぜったいに逃げるなよ」
 大蛇は熊蔵の言葉がわかったのか、ひと休みするように、その場で長いからだをクルクルと巻いて、大きなとぐろを作りました。
 さて、熊蔵は走って家に帰ると、大蛇のことを大声で口走りながら、を手にして畑へひきかえしていきました。
 近所の人たちも、カマや棒切れを持って熊蔵のあとを追っていきます。
 ところが畑についてみると、大蛇の姿は消えていたのです。
「おい熊蔵。大蛇はどこにおるんじゃ?」
「お前、ねぼけておったんじゃねえのか?」
 はりきってやってきた者たちは、残念そうな顔をしていいました。
「おかしいな。キツネかタヌキに化かされたかな?」
 ですが、山のかげから畑までの草木はなぎたおされており、大蛇が畑に現れたあとだけは、はっきりと残っていたという事です。

おしまい

 前のページへ戻る

お話しの移動

・ 福娘童話集
・ 100物語 (こわ~い話)

百 物 語

・   1話  ~  10話
・  11話  ~  20話
・  21話  ~  30話
・  31話  ~  40話
・  41話  ~  50話
・  51話  ~  60話
・  61話  ~  70話
・  71話  ~  80話
・  81話  ~  90話
・  91話  ~ 100話

・ 101話  ~ 110話
・ 111話  ~ 120話
・ 121話  ~ 130話
・ 131話  ~ 140話
・ 141話  ~ 150話
・ 151話  ~ 160話
・ 161話  ~ 170話
・ 171話  ~ 180話
・ 181話  ~ 190話
・ 191話  ~ 200話

・ 201話  ~ 210話
・ 211話  ~ 220話
・ 221話  ~ 230話
・ 231話  ~ 240話
・ 241話  ~ 250話
・ 251話  ~ 260話
・ 261話  ~ 270話
・ 271話  ~ 280話
・ 281話  ~ 290話
・ 291話  ~ 300話

・ 301話  ~ 310話
・ 311話  ~ 320話
・ 321話  ~ 330話
・ 331話  ~ 334話


ジャンルの選択
・有名な話 日本 世界
・こわい話 日本 世界
・わらい話 日本 世界
・感動話 日本 世界
・とんち話 日本 世界
・悲しい話 日本 世界
・ふしぎ話 日本 世界
・恩返し話 日本 世界
・恋物語 日本 世界