百物語 日本の怖いお話し 福娘童話集 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
- 広 告 -
 


福娘童話集 > 日本のこわい話(百物語)

百物語 第288話

土佐のエンコウ

エンコウ
高知県の民話 → 高知県の情報

 高知県ある地域では、むかしからカッパの事を『エンコウ』と呼んでいるそうです。
 そのエンコウは、川が大きな淵(ふち)になっているところに住んでいて、夜になると岸へ上って来ると言われています。
 そしてエンコウの歩いた跡は、とても生臭い匂いが残っていると言われています。

 さて、明治二十年のある秋の夕暮れに、力自慢の男が川にかかった板橋の上にさしかかりました。
 男が橋の上から川を見ると、今まで見た事もない動物が川上へ向かって泳いでいたのです。
「これは、噂に聞くエンコウにちがいない」
 そこで男は、人間の頭ほどもある石を拾って、その動物に力いっぱい投げつけました。
 ゴチーン!
 石は確かに命中しましたが、日が落ちて暗くなって来たので、男はそのまま家へ帰ってしまいました。
 次の日、橋の下流の方でエンコウが死んで川岸に打ちあげられたと、大騒ぎになりました。
 そのエンコウは、頭の上に梅干しほどのくぼみがあり、手と足の指の間には水かきがついていて、とても嫌な匂いを放っていました。
「どうする? このエンコウ」
「どうするって、このままにしておくわけにはいかんだろう」
「そうだな、たたられても困るし」
 そこで村人は占い師を呼んできて、どうすればいいのか占ってもらうことにしました。
 すると占い師にエンコウの霊が取り憑いて、こう言ったのです。
「おらは、この川に住むエンコウじゃ。むかしからの言いつけで、あの橋から上流へは行ってはならんと言われていたが、おらはそれを破って、上流へ行ってみた。そして男に石を投げられて死んだのだ。おらが死んだのは、言いつけを破った罰だから、お前たち人間にたたることはない」
 そして石を投げて男も、他の村人たちも、エンコウにたたられる事はなかったそうです。

おしまい

 前のページへ戻る

お話しの移動

・ 福娘童話集
・ 100物語 (こわ~い話)

百 物 語

・   1話  ~  10話
・  11話  ~  20話
・  21話  ~  30話
・  31話  ~  40話
・  41話  ~  50話
・  51話  ~  60話
・  61話  ~  70話
・  71話  ~  80話
・  81話  ~  90話
・  91話  ~ 100話

・ 101話  ~ 110話
・ 111話  ~ 120話
・ 121話  ~ 130話
・ 131話  ~ 140話
・ 141話  ~ 150話
・ 151話  ~ 160話
・ 161話  ~ 170話
・ 171話  ~ 180話
・ 181話  ~ 190話
・ 191話  ~ 200話

・ 201話  ~ 210話
・ 211話  ~ 220話
・ 221話  ~ 230話
・ 231話  ~ 240話
・ 241話  ~ 250話
・ 251話  ~ 260話
・ 261話  ~ 270話
・ 271話  ~ 280話
・ 281話  ~ 290話
・ 291話  ~ 300話

・ 301話  ~ 310話
・ 311話  ~ 320話
・ 321話  ~ 330話
・ 331話  ~ 334話


ジャンルの選択
・有名な話 日本 世界
・こわい話 日本 世界
・わらい話 日本 世界
・感動話 日本 世界
・とんち話 日本 世界
・悲しい話 日本 世界
・ふしぎ話 日本 世界
・恩返し話 日本 世界
・恋物語 日本 世界