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死ぬのはこわい

一月十六日の真夜中
一月十六日的半夜


(日本昔話)
(日本民间故事)

翻訳者 信陽師範学院  我爱麻衣酱

♪音声配信
☆横島小次郎☆



にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文

 むかしむかし、陸奥の国(むつのくに→青森県)のある村に、万次郎(まんじろう)という、とても気の弱い男がいました。
在很久很久以前,在陆奥古国的一个村子里,有一个十分胆小的人,叫做万次郎。

 万次郎は村の誰かがなくなると、今度は自分かもしれないと、いつもビクビクしているのです。
 每当村子里有人去世时,万次郎都会担心,“会不会下次就轮到我了” 总是一副战战兢兢的样子。


 ある日、万次郎は死んだおじいさんから聞いた話を思い出しました。
 有一天,万次郎想起了从已故的爷爷那里听来的话。

『一月十六日の真夜中に、人に見つからない様に家の屋根に登れば、その年に死ぬ人がわかる』
“在一月十六日的半夜,不让别人发现悄悄爬上房顶的话,会知道那一年哪些人会死去。”

 死ぬのが怖くてたまらない万次郎は、次の年の一月十六日、
 无法忍受对死亡的恐惧,万次郎在第二年的一月十六日,

 家のみんなが寝るのを待って、こっそり屋根へ登りました。
 等家人都睡着了,悄悄地爬上了屋顶。

「おおっ、寒い」
“啊~好冷”

 万次郎はガタガタと震えながら、あちこちを見回しました。
 万次郎冻得哆哆嗦嗦地发抖,向四周张望着。

 どの家も明りが消えていて、物音一つ聞こえません。
 每家每户都没了灯火,四周一片鸦雀无声。

「寒いし怖いし、家に戻ろうかな?」
“又冷又恐怖,我还是回去吧?”

 万次郎がそう思った時、村の一本道をゆっくりとこっちへ近づいて来る者がありました。
 万次郎这样想着,就在此时从村里的直道方向有个什么东西缓慢地向这里靠过来。

 それは白い着物を着て、ひたいに三角の白い紙をつけた死人です。
 那是个穿着白色衣服,额头上贴着三角形白纸的死人。

(ゆ、幽霊!)
(幽,幽灵!)

 万次郎はビックリしましたが、でもよく見ると、それは近くの家に住む老婆(ろうば)でした。
 万次郎吓了一大跳,仔细一看,那个人是住在附近的老婆婆。

 若者たちと一緒に畑仕事をしたり、孫の世話をしたりと、とても元気な働き者として知られていました。
 那个老婆婆经常和年轻人一起下地干农活,顺便照顾孙子孙女,一直很有精神是个勤劳的人。

 ついこの前も会ったばかりで、死んだなんて話しは聞いた事がありません。
 万次郎不久前刚刚见过她,并没听说过说她去世了之类的事儿。

 万次郎は不思議そうに、屋根の上から老婆を見ていました。
 万次郎觉得很不可思议,从屋顶上注视着老婆婆。

 老婆はまるで魂が抜けた様な顔で、トボトボと歩いていきます。 
 老婆婆好像灵魂抽离了似的面无表情,步履蹒跚地走着。

(いったい、どこへ行くのだろう?)
“到底她去哪儿?”

 万次郎の家の前を通り過ぎた老婆は、やがて村はずれの墓場(はかば)の前へ行き、そのまま煙の様に消えてしまいました。
 经过万次郎家门前,不久老婆婆去了村外坟场前,就像一阵烟一样消失不见了。

(もしかしてあのおばあさん、今年死ぬのだろうか?)
“难道说那个老婆婆,今年会死吗?”

 万次郎が首をひねっていると、今度は近くの家から同じ様に死人の衣装(いしょう)をつけた娘が出てきました。
 万次郎转转了脑袋思考着,就在这时从附近的房子里走出一个同样穿着死人衣服的姑娘。

(あっ、あの娘は!)
“啊,是那个姑娘!” 

 万次郎は、もう少しで声を出すところでした。
 万次郎差点发出声响儿。

 その娘は村でも評判の美しい娘でしたが、病気になってからは寝たきりとのうわさです。
 那个姑娘是村里公认的美女,据说因为得了病而卧床不起。

 その娘も村はずれの墓場の前で、煙の様に消えてしまいました。
 之后那个姑娘也来到坟场前,也像一阵烟一样消失不见了。

(はたして、あの二人は今年中に死ぬのだろうか?)
“果然,那两个人今年都会死吗?”

 そう思うと万次郎は、恐ろしくてこの事を人に話す事が出来ませんでした。
 这样想着,万次郎很恐惧也没有把这件事告诉别人。 

 それからしばらくすると、万次郎の思った通り、老婆も娘も死んでしまいました。
 从这之后不久,就像万次郎想的一样,老婆婆和那个姑娘都死掉了。

(じいさんの話は、本当だったんだ)
(爷爷的话,果然是真的。)

 万次郎は、いよいよ死ぬのが怖くなりました。
 万次郎变得更加怕死了。

 それでも毎年一月十六日になると屋根に登って、今年は誰が死ぬかを確かめるのでした。
 即便如此,万次郎每年一到一月十六日还是会爬上屋顶,来确认今年谁会死去。


 さて、ある年の一月十六日、万次郎が今日も屋根に登っていると、何とそこに現れたのは死人の衣装をつけた自分でした。
 就这样,在某一年的一月十六日,万次郎依旧爬上了屋顶,没想到穿着死人衣服出现的竟然是自己。

(そっ、そんな、バカな!)
(怎,,怎么会这样,不可能!)

 万次郎はビックリして、息が止まりそうになりました。
 万次郎下了一跳,连呼吸都要停止了。

 もう一人の万次郎は屋根の上の万次郎には目もくれず、ゆっくりゆっくりと墓場のある方へ歩いて行きます。
 另外一个万次郎连看都没看屋顶上的万次郎,就慢慢地慢慢地往坟场的方向走了过去。

 そして墓場の前に来ると、煙の様に消えてしまいました。
 然后走到坟场前,像烟一样消失不见了。

「大変だー!」
“不得了了!”

 万次郎は屋根からかけおりると、家の者を叩き起こして言いました。
 万次郎从屋顶上下来,把家里的人都叫起来说:

「ああ、おらは死ぬ! 今年死ぬんだ!」
“啊!我要死了!我今年就要死了!”

「何をバカな事を。悪い夢でもみたのだろう」
“说什么傻话呢。你做噩梦了吧”

「いいや、夢じゃねえ! 実はな・・・」
“不,这不是梦,是真的!”

 万次郎は今までの事をみんなに打ち明けましたが、誰も信じてはくれませんでした。
 万次郎把至今为止的事都向大家坦白明说了,但是没有一个人相信他的话。

 それからの万次郎は今まで以上にビクビクして暮らし、その年の秋、突然死んでしまったのです。
 从那以后万次郎比以往更加战战兢兢地活着,在那年秋天,突然之间死去了。

 万次郎の事は村のうわさになりましたが、誰もが怖がって、一月十六日の夜がきても屋根に登る人はいなかったそうです。
 万次郎的事情被村里人谈论成为传闻,每个人都很恐惧,据说从此到了一月十六日的夜晚再也没有人去爬屋顶了。

おしまい
完结

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