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      第 7話 
          
          
         
ドロボウを追い出したおばけ 
新潟県の民話 → 新潟県情報 
       
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       むかしむかし、あるところに、お金持ちのだんなさんがいました。 
 お金持ちでも心のやさしい人で、家でかっている動物を自分の子どものようにかわいがっていました。 
 ところが悪い人にだまされてしまい、屋敷(やしき)から田んぼに畑まで、全て売ることになってしまったのです。 
「しかたがない。あきらめるとしよう」 
 だんなさんが家族とそうだんしているのをネコが聞いて、ウマ小屋にとんでいきました。 
「ウマどん、ウマどん、たいへんだ!」 
 ネコから話を聞いたウマは、 
「それはいかん。なんとかしなくては。すまんがイヌやニワトリもよんできてくれ」 
 そこでネコは、この家にかわれているイヌとニワトリもよんできました。 
「おらは長い間、この家でかわれてきたが、一度だってだんなさんにたたかれたことがない。いつだっておらの頭をなでてくれた」 
と、イヌが言いました。 
「わたしだってどんなにかわいがってもらったか。もうタマゴをうまなくなったのに、だんなさんはちゃんとエサをくれるもの」 
と、ニワトリが言いました。 
 ネコもウマも負けじと、だんなさんにかわいがってもらったことを話しました。 
「おらたち、どうしてもだんなさんに恩返しをしなくちゃなあ。・・・なにかいい方法はないものか?」 
と、ウマが言うと、イヌが言いました。 
「むこうのとうげに一軒家(いっけんや)があって、ドロボウたちが住んでいるというぞ。あいつらをおどかしてお金をもらうのはどうだろう?」 
「そいつはいい。よし、みんなで出かけよう」 
 ウマもネコもニワトリも、すぐにさんせいしました。 
 三匹と一羽は夜になるのを待って、とうげの一軒家に出かけました。 
 こっそりと中をのぞいてみると、ドロボウたちはお金の山を前にして酒を飲んでいました。 
 ウマはみんなを集めて、小さな声で作戦を話します。 
「いいな。それじゃいくぞ」 
 ウマがしょうじの前に立つと、そのせなかにイヌが乗り、イヌのせなかにネコが乗り、ネコのせなかにニワトリが乗りました。 
「よし、せいの!」 
 三匹と一羽は、いっせいになきました。 
「ヒヒーン! ワンワン! ニャーオ! コケコッコー!」 
 さあ、ビックリしたのはドロボウたちです。 
 奇妙な声のする方を見たら、しょうじにバケモノのかげがうつっているのです。 
「ひゃあー! バ、バケモノだあー!」 
 ドロボウたちはお金をほうりだしたまま、われ先にと逃げていきました。 
 そのすきに、ネコとウマとイヌとニワトリは、ドロボウのお金をのこらずふくろにつめて、大喜びで家にもどってきました。 
「だんなさん、どうぞこの金を使ってください。おらたちのおんがえしです」 
「おおっ、ありがとう、本当にありがとう」 
 だんなさんは動物たちのおかげで、屋敷も田んぼも畑も売らなくてすむようになりました。 
 そこでネコとウマとイヌとニワトリは、もとどおりのしあわせな毎日を送ったという事です。 
      おしまい 
         
         
         
        
 
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