福娘童話集 > きょうの日本民話 福娘童話集 きょうの日本民話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
広 告
 


福娘童話集 > 日本民話 > その他の日本民話 >ウナギ釣り

第 83話

ウナギ釣り

ウナギ釣り
兵庫県の民話兵庫県情報

日本語 ・日本語&中国語

 むかしむかし、川の中に腰まで入って、ウナギ釣りをしている人がいました。
 エサのミミズをつけた釣り針を投げ込んで、ウナギのかかるのをジッと待っています。
 でも、三十分たっても一時間たっても、ウナギは釣れそうにありません。
 するとそれをさっきからジッと見ていた人が、イライラして言いました。
「なあ、お前さん。一度、糸を引き上げてみてはどうだね。もしかするとエサがなくなっているかもしれないよ」
 それを聞いたウナギ釣りの人は、
(ふん、素人が何を言いやがる。おれはこの方法で何十年もウナギ釣りをしているんだ。お前なんぞにウナギの釣り方がわかってたまるもんか)
と、心の中で思いましたが、でももしかすると、本当にミミズがなくなっているかもしれません。
 そこで思い切って、釣り針を引き上げてみました。
 するとミミズは、ちゃんと釣り針についたままです。
「何だ、まるで食ってないじゃないか」
 ウナギ釣りをしている人ではなく、見ている人がガッカリして言いました。
(余計なお世話だ。見るなら黙って見ていろ)
 ウナギ釣りをしている人は少し腹を立てましたが、もう一度、釣り針を川の中に投げ込みました。
 ところがいくら待っても、ウナギがかかる様子はありません。
 それでもジッと我慢して、ウナギがかかるのを待っていました。
 すると、岸の上の人が我慢出来ずに言いました。
「お前さんは、よっぽど暇なんだね。いつ釣れるか分からないウナギを、ジッと待っているなんて。本当によくもまあ、あきずに立っていられるもんだ」
 それを聞いたウナギ釣りの人は腹を立てて、岸の上の人に大声で言いました。
「そっちこそ、よっぽど暇なんだな。人がウナギを釣り上げるのを、ジッと待っているなんて。本当によくもまあ、あきずに立っていられるもんだ」
 そう言われて岸の上の人は、ハッと気がつきました。
 ウナギ釣りに気を取られて、大事な仕事に行くのをすっかり忘れていたのです。
 岸の上の人は大慌てで荷物をかつぎなおすと、走って仕事に出かけました。

おしまい

前のページへ戻る


福娘の姉妹サイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ