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第 142話

力和尚、江戸へ行く

力和尚、江戸へ行く
群馬県の民話群馬県の情報

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 むかしむかし、西方寺というお寺に、大変力持ちの和尚さんがいました。
 さて、この力持ち和尚さんが、ある用事で江戸へ出かける事になりました。
 朝早くに桐生(きりゅう)の西方寺を出た和尚さんは、昼頃に熊谷へ到着しました。
 そして途中で時間が気になった和尚さんは、お昼ご飯を食べるために立ち寄った茶屋の主人に尋ねました。
「すまんが、今は何時かのう?」
 すると主人は、困った顔をして、
「はあ、いつもなら上州の西方寺さんの鐘が時を知らせてくれますが、どうした事か、今日は朝から鐘が一度も鳴りませんでのう」
と、言うのです。
(なんと、自分が鳴らす鐘の音が、こんな遠い所まで届いていたとは)
 和尚さんは内心びっくりしながらも、すました顔で言いました。
「ああ、そう言えば西方寺の和尚、今日は用事で出かけると言っていたな。だが、夕方には帰るでしょう。では、代金はここに置いておきますよ」
 そして茶店を出ると、江戸への用事をほったらかして急いで西方寺に戻り、夕方の鐘を鳴らしたということです。

♪ゴーーーン!

おしまい

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