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第 174話
まんじゅう比べ
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むかしむかし、お祭りの日に大きなまんじゅうを作って神さまにお供えをする村がありました。
まんじゅうは大きければ大きいほど良いとされ、この村の長者のまんじゅうが毎年一番の大きさでした。
さて、今年もお祭りの日がやって来ました。
長者はたくさんの人をやとって、朝からもちをつくやら、あんこをこねるやらの大変な騒ぎです。
そして昼前には座布団ほどの大きさの立派なまんじゅうが出来上がり、床の間に飾られました。
するとさっそく大勢の村人たちが、長者のまんじゅうを見ようとやってきました。
「何て見事なまんじゅうだ」
「これほど大きいのに、形が少しも崩れていない」
「今年もまた、長者さんとこのまんじゅうが一番だ」
さて、まんじゅう見物に来ていた一人の男が、長者のまんじゅうを見てうらやましくなりました。
(何とかして長者さんより大きなまんじゅうを作り、村中の評判になりたい)
男はすぐに家へ帰ると表の戸を閉めて、おかみさんと二人で何やら作り始めました。
夕方近くなった頃、男の家の前に布団を二つ並べたほどの大きな大きなまんじゅうが飾られたのです。
さあ、これを見た村人たちはびっくりです。
「長者さんのまんじゅうは座布団ほどの大きさだったが、これは布団よりも大きいぞ」
「これぞ、村一番のまんじゅうだ」
驚く村人たちの言葉に、男とおかみさんはすっかりいい気分です。
やがて、うわさを聞いた長者さんが男の家にやって来ました。
「わしのまんじゅうより大きなまんじゅうがあるものか。何かの見間違え・・・。そんな馬鹿な!」
男の家の前の大きなまんじゅうを見た長者は、あまりの驚きに目と口を大きく開けたままうなりました。
「まっ、負けた・・・」
その時、突然強い風が吹いて来たかと思うと、男の大きなまんじゅうが風でふわりと浮き上がり、道へ転がって裏返しになりました。
「どうして、まんじゅうが風に飛ばされるのだ?」
長者と村人たちがあわててまんじゅうのそばへ駆け寄ってみると、そのまんじゅうは竹で作った骨組みに布を貼り付けたニセモノで、本物に見える様に布の上から白い粉をまぶした物でした。
おしまい
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