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第 206話
白竜湖の琴の音
山形県の民話 → 山形県情報
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投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
【大人も子供も眠れる 優しい朗読】日本人の知らない日本昔話集 神話 龍の物語
むかしむかし、置賜平野(おきたまへいや→山形県)の村々は、日照りが続いて困っていました。
村人たちは山の神や水の神に火を焚いて、何日も何日も雨乞いをしましたが、雨は一滴も降りませんでした。
困り果てた庄屋(しょうや)さんが、巫女(みこ)のところへ出かけて行って、水神(すいじん)さまに雨が降る様にお願いしてもらう事を頼みました。
「わかりました。やってみましょう」
そこで巫女が湖の岸辺の水神のほこらの前でお祈りをしたところ、しばらくして巫女の口を通じて、
『わしは、湖に住む竜神(りゅうじん)じゃが、わしもそろそろ嫁が欲しい。村の中から嫁を選び、三日のうちに嫁入りをすれば雨を降らせよう』
と、お告げがあったのです。
そこで村人全員が庄屋さんの家へ集まり、どこの娘を差し出せばよいかと話し合いましたが、自分の娘を竜の嫁に出そうという者がおらず、いつまでたっても決まりませんでした。
その時、村人たちの前へ庄屋さんの娘が進み出て、
「村の為なら、喜んで竜神の嫁になりましょう」
と、申し出たのです。
急な事なので嫁入り道具が何もありませんが、娘が大切にしていた琴(こと)を嫁入り道具として持たせて、白い晴れ着姿の娘を湖の岸辺まで連れて行きました。
そして村人たちが泣き泣き村へ引き返そうとした時、突然に雷鳴(らいめい)がとどろいて、湖の真ん中からすさまじい水柱が立って、二匹の竜が天に駆け登って行ったのです。
二匹のうち一匹の竜は、白い晴れ着姿の娘と同じく、真っ白な竜でした。
間もなく、二匹の竜が登った空から大粒の雨が降って、村は救われたのです。
それから湖は白竜湖(はくりゅうこ)と呼ばれ、霧雨(きりさめ)の降る日には、湖の中から美しい琴の音が聞こえてくるそうです。
おしまい
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