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第 218話

ずいとん和尚

ずいとん和尚
長野県の民話長野県情報

日本語 ・日本語&中国語

 むかしむかし、ある山寺に、随頓(ずいとん)という和尚さんがいました。
 その和尚さんのところへタヌキが毎晩のようにやって来て、和尚さんが寝ようと思っていると雨戸の外から大きな声で、
「ずいとん、いるかぁー!」
と、叫ぶのです。
 和尚さんは、檀家(だんか)の人でも訪ねて来たのかと思って、大急ぎで返事をしながら戸を開けてみますが、外には誰の姿もありません。
「さては、タヌキの仕業じゃな。まったく、いつもいつも。・・・ようし、仕返しをしてやろう」
 ある晩、和尚さんはイモや大根のごちそうをたくさんこしらえると、お酒をチビチビ飲みながらタヌキが来るのを待ちました。
 するといつもの時間になって、
「ずいとん、いるかぁー!」
と、呼び声がしました。
 そこで和尚さんが戸の隙間からそぉっとのぞいてみると、タヌキは腹鼓(はらづづみ)を叩いては、
「ずいとん、いるかぁー! ポンポコポン!」
と、叫ぶのです。
「こりゃ、おもしろい」
 和尚さんは、タヌキに負けない大きな声で返事をしました。
「うむ、おるぞ!」
 するとタヌキも、和尚さんに負けじと、
「ずいとん、いるかぁー! ポンポコポン!」
「うむ、おるぞ!」
 こうして、タヌキと和尚さんの問答合戦が始まりました。
 問答合戦は夜通し続きましたが、和尚さんは酒とごちそうがあるので、いつまでたっても元気に大声で返事をし続けましたが、一方、タヌキの方は、だんだんと元気がなくなってきて、
「ズイ・・・トン、・・・いる・・・かぁー。ポンポコ・・・ポン」
「うむ、おるぞ!」
「ズイ・・・ト・・・ン・・・」
と、しまいには、何も言えなくなってしまいました。
 和尚さんは、ニヤリと笑うと。
「ようし、タヌキのやつを負かしたぞ。これにこりて、タヌキもおとなしくなるじゃろう」
と、喜んでいるうちに、和尚さんは酒の酔いがまわってしまい、そのままグ―グ―と眠ってしまいました。
 さて、あくる朝になって和尚さんは目を覚ますと、急いで戸を開けてみました。
 するとそこには大きな古ダヌキがいて、お腹の皮を叩き破って死んでいたという事です。

おしまい

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