福娘童話集 > きょうの日本民話 福娘童話集 きょうの日本民話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


福娘童話集 > 日本民話 > その他の日本民話 >長い話で、長者婿

第 293話

長い話で、長者婿

長い長い昔話
山形県の民話山形県の情報

日本語 ・日本語&中国語

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
【大人もぐっすり眠れる睡眠朗読】クスッと笑える楽しいとんち 日本昔ばなし集 元NHKフリーアナ

 むかしむかし、ある長者の家に、とても可愛い一人娘がいました。
 その娘は、むかし話を聞くのが大好きです。
 そこで長者はむかし話をたくさん知っている若者を婿に迎えようと思い、こんな立て札を立てました。

《娘が聞き飽きるほど昔話を語った者を、娘の婿にする》

 するとさっそく一人の若者が長者の家を訪ねてきて、こう言うのです。
「むかし話なら、おれに任せて下さい。いくらでも語ることが出来ます」
 そこで試しにむかし話を語ってもらったのですが、長者の娘はいくらむかし話を聞いても、
「もっと聞かせて。もっと聞かせて。もっと、もっと」
と、何度も何度もむかし話のおねだりをするのです。
 若者は知っているむかし話を全部語り終えると、
「おれの負けです。これ以上は、むかし話を語ることは出来ません」
と、尻尾を巻いて帰って行きました。

 それから数日後、また若者が訪ねてきました。
「おれは、むかし話を飽きるほど語ることが出来るぞ」
 そこで今度も、むかし話を語ってもらったのですが、これもまた、いくら語っても語っても娘は次の話をおねだりするのです。
「もっと聞かせて。もっと聞かせて。もっと、もっと」
 そこで全てのむかし話を語り終えた若者は、これもまた尻尾を巻いて帰って行きました。

 そしてそれから数日後、またまた別の若者が訪ねてきました。
「わたしは、いくらでもむかし話を語ることが出来ます。ですから、婿にして下さい」
 そこでその若者にもむかし話を語ってもらうことにしたのですが、そのむかし話というのが、こんなお話しなのです。

「むかしむかし、ある大きな木の根っこに蛇の穴があって、そこから長い長い長いヘビが出てきたのです。
 あまりにもヘビが長いので、ぜんぜん尻尾が見えません。
 のろのろのろのろのろのろ出てきますが、今日は尻尾が見えません。
 明日も、のろのろのろのろのろのろ出てきますが、尻尾が見えません。
 明後日も、のろのろのろのろのろのろ出てきますが、尻尾が見えません。
 その次も、のろのろのろのろのろのろ出てきますが、尻尾が見えません。
 その次も、のろのろのろのろのろのろ出てきますが、尻尾が見えません。
 その次も、のろのろのろのろのろのろ出てきますが、尻尾が見えません。
 その次も、のろのろのろのろのろのろ出てきますが、尻尾が見えません。
 その次も、のろのろのろのろのろのろ出てきますが、尻尾が見えません。
 その次も、・・・」
と、ずっとその話を繰り返すのです。
 あんまり『のろのろ』が続くので、ついに娘もむかし話に飽きてしまい、ぐーぐーと寝てしまったのです。
 それを見た長者は若者の知恵を大変気に入り、喜んで婿に迎えたという事です。

おしまい

前のページへ戻る

福娘の姉妹サイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ