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11月30日の日本民話 2

弁天さまの赤蛇

弁天さまの赤蛇
長崎県の民話長崎県情報

 むかしむかし、長崎市上西山町のあるお寺に、一匹の赤蛇が住み着きました。
 その赤蛇を見た者は必ず病気になると言われていますが、弁天さまを拝むと病気は治るそうです。

 ある寒い冬、赤蛇が住み着いたお寺を建て直すことになりました。
 集まった大工たちが仕事前に体を暖めようとたき火をしていると、そのたき火の中からまっ赤に焼けこげた赤蛇が苦しそうにのたうち回りながら出て来ました。
「ああっ、赤蛇だ!」
 大工たちは驚きながら、赤蛇の周りに集まりました。
 やがて赤蛇は動かなくなり、そのまま死んでしまいました。
 大工たちがたき火の為に集めた枯れ草の中に、赤蛇の巣があったのでしょう。
「赤蛇とは不吉だ」
「たたりがないとよいが」
 大工たちは口々にそう言いながら、仕事に取りかかりました。

 その夜の事、大工たちの夢枕に赤蛇が出てきて言ったのです。
「今朝は、よくも焼き殺してくれたな。お前たち、七代までたたってやるぞ!」

 次の朝、同じ夢を見た大工たちは恐ろしくなり、そっそく弁天さまへお参りに行きました。
「弁天さま。どうか赤蛇にたたられんようにしてください」
 そして大工たちは、赤蛇が焼け死んだ所に小さなほこらを建てました。
 弁天さまへのお参りが効いたのか大工たちは誰も病気にはなりませんでしたが、ほこらの辺りには蛇が何度も姿を見せるようになりました。

 人々は蛇を弁天さまのお使いだと思い、蛇を大切にするようになったそうです。

おしまい

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