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12月6日の日本民話 2
目印の松の枝
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むかしむかし、ある寺に、けちんぼうな和尚さんと小僧がいました。
ある日の事、檀家(だんか)からお供えのナシをたくさんもらったので、小僧は和尚さんにナシを一つだけ欲しいと頼みました。
「うむ・・・、ではナシの歌を作ってみろ。上手な歌を作れたら、ほうびにナシを一つやろう」
「はい、約束ですよ」
そこで小僧は、こんな歌を作りました。
♪ナシ一つ、くれん和尚のほそ首を
♪切りたくもあり、切りたくもなし
その歌に、和尚さんはしぶしぶナシを小僧にやりました。
「なかなか、うまい歌を作ったな」
それから数日後、和尚さんの留守に小僧の里から重箱いっぱいのぼたもちが届けられました。
小僧はさっそくぼたもちを食べ始めましたが、たくさんあるので一度には食べきれません。
「どうしようか。下手に残しておくと、和尚さんにぼたもちを食べたことがばれてしまうし」
そこで小僧は、
「人が見つけたら、カエルになれよ」
と、言いながら、残ったぼたもちを庭のすみに埋めて目印に松の枝をさしておきました。
その翌朝、小僧がぼたもちを埋めた庭を見てみると、雪が一面に降りつもってぼたもちを埋めた場所が分かりません。
小僧がつい、
「雪ふりて、印の松もつきにけり、下のぼたもち、何となろやら」
と、口ずさんでいると、その歌を和尚さんに聞かれてしまいました。
そこでは小僧はあわてて、
「雪ふりて、印の松もつきにけり、下の村里、何となろやら」
と、読みなおしてごまかしたそうです。
おしまい
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