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2月7日のイソップ童話
マムシとミズヘビ
ある泉に、マムシ(→詳細)が毎日水を飲みに来ました。
その泉にすんでいるミズヘビ(→詳細)はおもしろくありません。
「おい、おれの泉の水をのむなよ」と、ミズヘビはいつもいうのでした。
「きみは陸にすむヘビなんだから、あっちにいけ」
いざこざのケンカは毎日つづき、しだいにひどくなりました。
「いっそのこと、力ずくのはたしあいをやって、きめようじゃないか。勝った方が、陸も水も自分のものにするんだ」
マムシもミズヘビもとうとう決心し、ついにはたしあいの時がきました。
すると、それを聞きつけたカエルたちが、マムシのところへやってきて、
「マムシさん、しっかりやって下さい。ぼくらはミズヘビがきらいですから、たたかいの日にはあなたの味方をしますよ」
と、いいました。
いよいよ、はたしあいがはじまって、マムシとミズヘビが死にものぐるいでたたかっています。
カエルたちはそばで、ただ、「ガー、ガー」とわめき立てるだけです。
勝ったのはマムシでした。マムシはたたかいの後、カエルたちに、
「なんだ! きみたちは。味方をするといっていたくせに、力を貸さないで、歌ばかり歌っていたじゃないか」
と、おこりました。するとカエルたちは、
「そんなこと、わかりきった話でしょう。ぼくたちが味方をするというのは、腕力ではなくて声だけの味方なのですよ」
この話は、ことばや声だけの応援では、なんの役にもたたない事をおしえています。
おしまい