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2年生のイソップ童話
アリに刺(さ)された男とヘルメス
ある日、1せきの舟(ふね)が、のっていたおおぜいの人とともに、海(うみ)にしずんでしまいました。
それを見ていた、1人の男が、
「神(かみ)さまのやりかたは、まちがっている! あの船(ふね)には、ばちあたりな人間(にんげん)が、たった1人のっていただけなのに、その人をばっするために、おおぜいの罪(つみ)のない人を死(し)なせるなんて。まったく、ひどい話(はなし)だ」
と、いいました。
ちょうどそこは、アリがたくさんいる場所(ばしょ)でしたので、一ぴきのアリが、このうるさい男をチクリと刺(さ)しました。
「うっ! アリのくせに、人間(にんげん)さまをかみやがって、こうしてくれる!」
すると男は、たった一ぴきのアリが刺(さ)しただけなのに、そこにいたアリを、残(のこ)らずひねりつぶしてしまいました。
そのとき、ヘルメスの神(かみ)があらわれて、男に、こう言(い)いました。
「どうだ、これでもおまえは、おまえがアリをさばくのと同(おな)じように、神(かみ)が人間(にんげん)をさばくのは、けしからんというつもりか」
人のわるい事を、注意(ちゅうい)するのはかんたんですが、注意(ちゅうい)するまえに、自分(じぶん)も同(おな)じ事をしないかどうか、よく考(かんが)えてみてください。
この男のように、自分(じぶん)も同じ事をする人は、人を注意(ちゅうい)するまえに、自分(じぶん)を注意(ちゅうい)することが大切(たいせつ)です。
おしまい
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