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7月18日の日本の昔話

ふしぎな和尚さん

ふしぎな和尚さん

 むかしむかし、ある村に、えらい和尚(おしょう→詳細)さんのいっこうがとまることになりました。
 村にはまえもって、こんなおふれがまわりました。
《和尚さんは、イヌがにがて。かならず、しっかりとつないでおくように。また、ごはんをたべるところや、おふろに入るところは、けっして、のぞいたりしないように》
 和尚さんのやどになった家では、たいへんなきのつかいようです。
 ごはんのときも、おふろのときも、まわりじゅうにびょうぶをめぐらせて、だれにものぞかれないようにしました。
 でも、あとかたづけをしたひとは、
「んて、おぎょうぎのわるい和尚さんだろう」
と、あきれました。
 ごはんがとびちっているし、おふろだって、ずいぶんとお湯がとびちっています。
「和尚さん、おとまりいただいたきねんに、ひとふで、おねがいいたします」
 家の主人がたのむと、和尚さんはふでをとって、スラスラスラッと、なにやらむずかしい字をかいてくれました。
 けれど、うますぎるのか、へたすぎるのか、だれにもよめません。
 さて、つぎの朝。
 和尚さんがカゴ(→詳細)にのると、二とうののら犬が、ものすごいいきおいでおそいかかって、おしようさんをかみころしてしまいました。
 さあ、たいへんです。
 和尚さんのお寺に、つかいがとびこみました。
 すると、ほんとうの和尚さんは、びょうきでねているということがわかりました。
 その和尚さんがいうには、お寺のやぶにすんでいたタヌキではないかとのことです。
 お寺の山門をなおすために、和尚さんがきふをあつめにでかけようとしたところ、びょうきでそれができなくなりました。
 そこで、和尚さんにかわいがられていたタヌキが、みがわりとなって、きふをあつめるたびに、でかけたのではないかということでした。
 つかいのもののはなしに、
「そう考えれば、おふれのこともなっとくできる。お寺へはこんで、くようしてもらおう。タヌキとはいえ、かんしんな心がけじゃ。ゆうべ、かいてもらった字は、うちのたからものにしよう」
 やどの主人も村のひとたちも、なみだをうかべました。
 やがて、この話しがほうぼうにひろがると、たくさんきふが集まったので、お寺にはみごとな山門ができたということです。

おしまい

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