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3年生の日本昔話(にほんむかしばなし)
福の神(ふくのかみ)になったびんぼう神(がみ)
むかしむかし、働き者(はたらきもの)なのに、とても貧乏(びんぼう)な夫婦(ふうふ)がいました。
ある年のくれ、二人が大そうじをしていると、やせたネズミのようなものが、神棚(かみだな)から出てきました。
「わしは貧乏神(びんぼうがみ)だ、お前たちが、あんまりまじめに働(はたら)くから、わしはこの家を出て行く。たっしゃでな」
そういって、ヨタヨタと歩き出しました。
すると、夫婦(ふうふ)は、
「貧乏神(びんぼうがみ)と言っても、神(かみ)さまには代(か)わりありません。どうか、この家にいて下さい」
「うん? わしは、貧乏神(びんぼうがみ)だぞ」
「はい、貧乏神(びんぼうがみ)さま。大切にしますので、どうか、お願(ねが)いいたします」
と、言って、無理矢理(むりやり)に貧乏神(びんぼうがみ)を神棚(かみだな)に押し戻(おしもど)しました。
それから夫婦(ふうふ)は、毎日神棚(かみだな)に食べ物(たべもの)をあげ、まじめに働(はたら)き続(つづ)けました。
気がつくと、いつの間にか夫婦(ふうふ)は、お金持(かねも)ちになっていました。
そこで、倉(くら)のある、大きな家をたてました。
きょうは、引っ越(ひっこ)しの日です。
夫婦(ふうふ)は神棚(かみだな)に向(む)かって言いました。
「さあ、貧乏神(びんぼうがみ)さま。一緒(いっしょ)に、新しい家に参(まい)りましょう」
すると神棚(かみだな)からは、きれいな着物(きもの)を着(き)た神(かみ)さまが出てきたのです。
「お前たちのおかげで、これこのとおり。礼(れい)を言うぞ。これからも、よろしくな」
夫婦(ふうふ)に大切にされた貧乏神(びんぼうがみ)は、いつのまにか、福の神(ふくのかみ)になっていたのです。
おしまい
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