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11月24日の日本の昔話

打たぬのに、鳴るたいこ

打たぬのに、鳴るたいこ

 むかしむかし、あるお寺に、あたらしく小僧さんがきました。
 和尚(おしょう→詳細)さんは、小僧さんがどれくらいやくにたつかためしてみようと思いました。
 それで、わざとむずかしいことをいいつけました。
「打たぬたいこに、鳴るたいこ。手ふり足ふり、しかめがおをするものをもってきなさい」
「へえ、そんなものがあるのですか?」
 小僧さんは、こまってしまいました。
「もってくることができないというなら、おまえのまけじゃ。まいりました、まいりましたと、十ぺんいって、まい日の三どのごはんを二どにがまんしなさい」
と、和尚さんがいいました。
「そんなこと、わたしはごめんです」
「では、さっきいったことをやれるか」
「ええ、やりますとも。きっと、もってきてみせますよ」
と、小僧さんはしかたなくこたえました。
 小僧さんはひとりになると、うでをくんで、ジッとかんがえました。
 それからニッコリわらって、小さなふくろをもって、お寺のうらの森へでかけていきました。
 森からかえってきますと、こんどはおかねをもって町へいき、たいこをひとつ買ってきました。
 そして、しばらくたってから、たいこをもって和尚さんのへやへいき、
「おいいつけのものを、もってきました」
と、いいました。
 和尚さんは、そのたいこをもってみて、ビックリ。
 たたかないのに、ブルンブルンと、ひとりでに鳴っています。
 あんまりふしぎなたいこなので、
「ほう、これはなんだ?」
 和尚さんは、たいこのふちから中をのぞこうとしました。
 すると、ブーンと、とびだしてきたハチが、チクリッと、和尚さんのはなのあたまをさしました。
「いたい、いたいっ!」
 和尚さんは、手や足をふりあげてハチをおいはらい、たいこをなげだしました。
「そらね、和尚さまがおっしゃったように、『打たぬのに、鳴るたいこ。手ふり足ふり、しかめがおをするもの』でしょう」
と、小僧さんはいいました。
 和尚さんは、小僧さんをこまらせるつもりだったのですが、じぶんのほうがハチにさされてしかめがおをしてしまったのでした。

おしまい

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