ほいくえん・ようちえん の にほんむかしばなし



ぶらぶら たろう

　むかしむかし　あるむらに　たろすけと　いう　わかものが　いました。
　たろすけは　なまけもので　まいにち　ぶらぶらと　あそんで　います。
　きょうも　ぷらぷらと　あそんで　いると　たろすけを　よぶこえが　しました。
「もしもし　たろすけどん」
　こえの　するほうを　みると　ちいさな　つぼが　ころがって　います。
「こりゃあ　ええもん　みつけたぞ」
と　ひろうと　つぼの　なかには　ちいさな　おとこが　いるでは　ありませんか。
「わわっ！　おまえは　だれだ！」
「たろすけどん　わしは　おまえさんの　ように　ぶらぶら　あそんでいる　なまけもんが　すきでな　きょうから　おまえさんの　いえで　くらす。　どうか　つれていってくれ」
「そうか。　なら　こいや」
　いえに　かえった　たろすけが　つぼから　だしてやると　それは　たろすけの　てに　のるくらいの　ちいさな　おとこ　でした。
「まあ　ゆっくりせいや。　すまんが　るすばんを　たのむぞ」
　たろすけが　ぶらぶら　あそんでから　いえに　かえって　みると　みたこともない　おとこが　ねています。
「おい　おきろ！　おまえは　だれだ！」
「わすれたのか？　つぼから　でてきた　わしを」
「えっ？　・・・ひえっ！　なんでまた　そう　おおきく　なったんじゃ」
「じつはな　おまえが　あそんで　くれると　わしの　からだが　おおきく　なるんだ。　これからも　いっぱい　あそんで　くれや」
　たろすけは　びっくり　しましたが　つぎのひも　あそびに　いきました。
　そして　ゆうがたに　かえってくると　おとこは　また　おおきくなって　あたまが　てんじょうに　つきそうでした。
　たろすけは　いつ　おとこに　ふみつぶされるか　しんぱいで　へやの　はしっこで　ひやひや　していました。
　あさに　なると　たろすけは　いえから　にげるように　とびだし　そのひも　ゆうがたまで　ぶらぶらと　あそんで　かえりました。
　すると　いえの　いりぐちから　おおきな　あしが　でていて　まどからは　おおきな　てが　とびだして　いました。
「うひゃーっ　こりゃあ　たまげたー！」
　たろすけは　いえの　なかに　はいることが　できません。
「やれやれ　たいへんな　ことに　なっちまったぞ。　あしたも　あそんでいると　いえを　つぶされて　しまうな」
　たろすけは　つぎのひ　はたけで　しごとを　しました。
　ゆうがた　いえに　かえって　みると　おとこは　すこし　ちいさくなって　いました。
「ははーん　おらが　はたらけば　ちいさく　なるんだな」
　それから　たろすけは　まいにち　まいにち　はたらきました。
　すると　おとこは　だんだん　ちいさく　なっていきます。
　そして　とうとう　つぼから　でたときのように　ちいさくなった　おとこは　
「たろすけどん　ここは　すみにくく　なった。　もういちど　わしを　つぼに　いれて　みちに　すてて　くれや」
「ほいよ　わかった」
　たろすけは　ちいさい　おとこを　つぼに　いれて　みちに　すてました。
　それからは　まいにち　たろすけは　まじめに　はたらいて　おかねもちに　なったと　いうことです。

おしまい