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まんじゅうこわい
町内(ちょうない)の若い者(わかいもの)が、二、三人より集(あつ)まって、おしゃべりをしていますと、やせた、青白い顔(かお)の男が、はあはあと息(いき)をきらせて、飛(と)びこんできました。
「じつは、おれはまんじゅうが、どうしても、こわくてこわくて。は、早く、どこかへかくしてくれ」
さっそく、まんじゅう屋(や)からまんじゅうを買(か)い、おぼんに山もりにつんで、物置(ものおき)の中へ入れると、戸(と)をぴしゃりとしめて、おさえていました。
ところが、しばらくたっても、物音(ものおと)ひとつしません。
「あれっ? おまえをおどかしてやろうとおもったのに、食(たべ)っちまうとは、どこがこわいんだ?」 おしまい
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