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2年生の江戸小話(えどこばなし)
ぶしょうくらべ
なにをするにも、めんどうな男がおりました。
ある日、観音(かんのん)さまにおまいりにいき、とちゅうで腹(はら)がすいたので、茶店(ちゃみせ)によりましたが、さて、食(く)うのがめんどうくさい。
そこで、にぎりめしにしてもらい、ふところにおしこんでもらいました。
腹(はら)がへったまま、道(みち)を歩(ある)いていますと、向(む)こうから、腹(はら)がへったような顔(かお)をした男が、ずりおちそうな、すげがさ(→すげの葉(は)っぱで編(あ)んだかさ)を、頭(あたま)にのせてやってきます。
「もしもし、おまえさん、腹(はら)がへっているらしいな。わたしのふところの中のにぎりめしを、食(く)いなさらんか。そしてついでに、わたしの口へも、入れてくだされ」
と、いうと、すげがさの男は、
「バカなことを、いいなさんな。おまえに食(く)わせるような、めんどうなことをするぐらいなら、このかさのひもを、とっくにむすんでおるわ」
おしまい
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