2年生の江戸小話(えどこばなし)
イラスト myi ブログ sorairoiro
ネコのまねしたお嫁(よめ)さん
むかし、ある山の村に、とてもすなおな、むすめがいました。
あるとき、このむすめのところに、となりの村からつかいがきて、
「ぜひ、お嫁(よめ)にもらいたい」
とのことです。
むすめの、おっかさんは、
「こんなけっこうなはなしは、またとあるもんでない」
と、さっそく、むすめをよんで、言(い)い聞(き)かせました。
「いいかい。お嫁(よめ)にいって、しばらくの間(あいだ)は、もらってきたばかりのネコみたいに、おとなしくしているんだよ」
「うん、わかった。ネコみたいにしておれば、いいんだな」
むすめが台所(だいどころ)をながめると、よそからもらってまもない三毛(みけ)ネコが、かまどの かまのふたの上で、こっくりこっくりと、ねていました。
さて、むすめはまもなく、お嫁入(よめい)りをすませて、
おむこさんの家(いえ)で、くらすようになりました。
嫁入(よめい)りの、次(つぎ)の朝(あさ)のことです。
むすめは、だれよりもはやくおきて、かまどに火をつけ、ごはんたきをはじめました。
そのうちに、
「そうだ。ネコみたいに、しておらねば」
と、かまのふたの上にあがって、おすわりをしました。
そこに、おしゅうとめさん(→おむこさんのおかあさん)が、
「もっとゆっくり、ねてりゃあいいに」
と、ねぼけまなこで、やってきました。
みると、嫁(よめ)さんが、かまのふたの上にすわっています。
「あら! そんなところにあがって、なにをしているんだい?」
おしゅうとめさんが、びっくりしてきくと、むすめは、手で顔(かお)をなでまわしながら、
「ニャゴ、ニャゴ、ニャァーン」
と、かわいらしく返事(へんじ)をしたのですが、きみが悪(わる)いと、その日のうちに、おいかえされてしまいました。
おしまい
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