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7月3日の小話
大きさがちがう
床の間に富士山の絵がかかっているのをみて、客がいいました。
「いい絵ですなあ。このあいだ、わたしも富士山へいきましたが、まったくそっくりですよ」
すると、主人は、
「それじゃあ、あの山の上から、この家もみえたでしょう」
「まさか、あんなに遠いあの山の上から、ここがみえるものですか」
「はてな、みえるはずだが」
「どうしてです?」
客が、おかしな顔をしてきくと、主人は、
「うちの屋根からは、よく富士山が見えるからね」
おしまい