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5年生の江戸小話(えどこばなし)
うらない
むかし、一人の山伏(やまぶし)が伊勢(いせ→三重県)と江戸の分かれ道で、首を傾げました。
「はて、どちらに行けば良いのやら」
するとそこへ、百姓がやって来ました。
そこで山伏が、ちょっといばった態度で百姓に尋ねました。
「こりゃ、百姓。伊勢はどちらか、教えてくれ」
その態度に腹を立てた百姓は、山伏に怒鳴りました。
「山伏めが、横柄(おうへい)な口をききおって。
だいたい占うのは、お前えさんの商売だろう。
伊勢がどっちか、自分で占ったらどうだ」
「うむ。それはもっともだ」
山伏は目をつぶると、しばらく考えて言いました。
「よし、わかった。わかったぞ」
「ほう。それで、どっちと出た?」
百姓が聞くと、山伏は言いました。
「わしの占いでは、『百姓に聞け』と出た」
おしまい
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