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8月7日の小話
うらやましい
おめでたい元日です。
あるおみせのだんなが、神だなに、ポンポンと、かしわ手をうって、えびすさま(商売繁盛の神さま →詳細)と大黒さま(台所の神さま →詳細)に、年あけのあいさつをしました。
「わたしは、ことし七十五さいで、ばあさまが七十二。ともにじょうぶで、病気一つありません。せがれたちも、しょうばいに精をだしてくれており、まごたちも、すくすくそだってくれています。きょねんは、あきないがすべてうまくいって、千両(七千万円ほど)ほどたくわえがふえ、貸家もふやすことができました。これもみな、あなたがたのおかげです。ことしも、なにとぞ、よろしくおねがいいたします」
これをきいた、えびすさまと大黒さまは、思わず、顔をみあわせて、
「なんと、うらやましい。あやかりたい、あやかりたい」
と、はんたいに、手をあわせました。
おしまい