・5年生のお話し いちらん
5年生の江戸小話(えどこばなし)
命より大事なトラの皮
むかしむかし、猟師(りょうし)の父親が息子を連れて、山の中を歩いていました。
すると岩かげからいきなりトラが飛び出して来て、大きな口で父親をくわえると、父親を持ち去ろうとしたのです。 驚(おどろ)いた息子は鉄砲(てっぽう)をかまえると、逃(に)げて行くトラに狙(ねら)いをつけました。 そして息子が引き金を引こうとすると、それを見た父親が大きな声で言いました。
「息子よ! 足だ! 足だ! 足を狙うのだ! もし体に玉の傷(きず)がつくと、トラ皮の値段(ねだん)が下がってしまうからな」
おしまい