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2年生の江戸小話(えどこばなし)
おカメの嫁入(よめい)り
「ツルは千年、カメは万年(まんねん)」
と、いう言葉(ことば)がありますが、(※実際(じっさい)は日本に生息(せいそく)するツルの寿命(じゅみょう)は20〜30年、カメの寿命(じゅみょう)は30〜50年ほどです。)むかしから、ツルもカメもたいへん長生(ながい)きをする、おめでたい生き物(いきもの)だと考(かんが)えられてきました。
そのカメのむすめのおカメが、ツルのむすこの鶴吉(つるきち)と、結婚(けっこん)することになりました。
おカメの母親(ははおや)は、大よろこびをしています。
ところが、どうしたわけか、むすめのおカメは、部屋(へや)のかたすみで、めそめそ泣(な)いておりました。
母親(ははおや)が、おどろいて、
「近所(きんじょ)の人たちも、『おカメちゃんには、にあいのおむこさんだ。』と、いわってくれているのに、何(なに)がそんなに、悲(かな)しいのかい?」
と、ききますと、
「ツルちゃんのお嫁(よめ)さんになるのは、うれしゅうございますが、ツルちゃんの死(し)んだあと、九千年も、ひとりでくらすのかとおもうと、それがつらくて、つい悲(かな)しくなるのです」
おしまい
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