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1ねんせいのにほんみんわ
ひとくいザメと おぼうさんいしゃ
いわてけん の みんわ
むかしむかし、 あるところに、 おぼうさんが いました。
このおぼうさんは、 もともとは おいしゃさんだったので、 みんなから おぼうさんいしゃと よばれています。
あるひのこと、 おぼうさんいしゃが、 わたしふねに のりました。
ところが ふねが うみのなかほどまで きたとき、 きゅうに うごかなくなりました。
「おい、 せんどう(→せんちょう) どうした? こんなところで とめられちゃ、 どうにも ならんではないか」
おきゃくさんが さわぎはじめると、 せんどうさんは こまったかおで いいました。
「じつは、 このあたりには おそろしいひとくいザメがいて、 きにいったひとを みつけると こうして ふねをとめるのじゃ。 きっと おきゃくさんたちの なかに、 きにいったひとが いるのじゃろう」
それを きいて、 おきゃくさんたちは あおくなりました。
「すまんが、 おきゃくさんたちの もっているてぬぐいを うみへ なげてくれ。 サメは きにいったひとの てぬぐいだけを しずめるから」
おきゃくさんたちは しかたなく、 てぬぐいを うみに なげました。
すると、 おぼうさんいしゃの てぬぐいだけが しずんでしまいました。
それをみて、 おぼうさんいしゃが、
「みなさん あんしんしてください。 わたしは そうであり、 いしゃです。 どちらも ひとをたすけるのが しごとです。 ここは よろこんで みなさんを おたすけしましょう」
と、 いうなり、 うみへ とびこんだのです。
ひとくいザメは まってましたと ばかりに、 もっていた くすりばこごと、 おぼうさんいしゃを のみこみました。
さて、 ひとくいザメに のみこまれた おぼうさんいしゃは、 ひとくいザメの おなかの なかで ジッと すわったまま かんがえました。
(ここから でるのは かんたんじゃが、 このひとくいザメを こらしめなければ、 いつまた ひとをたべたいと いいだすか わからない)
そこで おぼうさんいしゃは くすりばこを あけて、 とびきり にがいくすりを あたりかまわず ぬりつけました。
おどろいたのは、 ひとくいザメです。
おいしそうな にんげんを のみこんだと よろこんでいたのに、 その にがいこと。
とうとう がまんできずに、 おぼうさんいしゃを はきだしてしまいました。
それをみた せんどうさんは あわてて ふねを こぎよせ、 みんなで おぼうさんいしゃを ふねに ひきあげました。
「よかった。 よかった」
「それにしても サメのやつ、 よくはきだしたものだ」
そこで おぼうさんいしゃは、 ひとくいザメの おなかに にがいくすりを ぬりつけたことを くわしくはなして やりました。
「なるほど、 これで もうにどと ひとをのもうなんて おもわんだろう」
「よし、 おいわいだ」
はまべに もどった せんどうさんが、 さっそく さかもりの よういをしました。
みんなは おぼうさんいしゃを まんなかにして、 おどりながら うたいました。
♪くやしかったら、 のんでみろ
♪サメも かなわぬ、 おぼうさんいしゃ
♪ああ、 こりゃこりゃ
すると、 うみの なかから さっきの ひとくいザメが かおをだして、
♪おまえみたいな、 にがいやつ
♪にどとは のむまい
♪ああ、 こりゃこりゃ
と、 うたったと いうことです。
おしまい
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