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        4年生の日本民話(にほんみんわ) 
          
          
         
おまけだけの買いもの 
千葉県の民話(みんわ) 
       むかしむかし、あるところに、ともてりこうな男の人がいました。 
   なんでも売っている大きな店に行き、あちこちにならんでいる品物を手にとっては、しげしげとながめるのですが、買うようすがありません。 
   それを見ていた店の主人が、がまんできずに言いました。  
  「何か気に入ったものがありますか? たくさん買ってくれたら、うんとおまけしますよ」 
  「それはありがたい。では、このわらぞうりを十足買ったら、一足まけてくれるかね」 
  「いいですとも。十足も買っていただけるのでしたら、一足ぐらいおまけしましょう」 
  「うそじゃないな?」 
  「もちろん。うそなんか言いません」 
   男の人はわらぞうりを一足つかむと、今度はざるのおいてあるところへ行きました。  
  「このざるを十個(10こ)買ったら、一個(1こ)まけてくれるかね」 
  「はい。十個(10こ)も買ってくださるなら、一つはおまけしましょう」 
   男の人はざるを一つつかむと、その中へわらぞうりを入れました。  
   それから今度は、茶わんのならんでいるところへ行きました。  
  「この茶わん十個(10こ)買えば、一つまけてくれるかね」 
  「ええ、十個(10こ)も買ってくださるなら、一つはおまけしましよう」 
   男の人は茶わんを一つ、ざるの中へ入れました。  
   それから、おわんに、しゃもじと、何でも手あたりしだいに一つずつざるの中へ入れます。  
   店の主人は、不思議(ふしぎ)に思ってたずねました。 
  「どうして、一つずつ入れるのですか?」 
  「なに、おまけのものから先に、入れているのだ」 
  「でも、今まで買ってもらったのはその十倍です。とても一人では持って帰れませんよ。なんでしたら、店の者に家までとどけさせましょうか?」 
   すると、男の人は、  
  「いや、そんな事をしてもらっては、もうしわけない」 
  と、言うなり、品物のいっぱいつまったざるを、かついで店を出ました。 
  「あの、もしもし、お客さん、まだお金をもらっていませんが」 
   店の主人があわててよびとめると、男の人はすました顔で言いました。  
  「今日は急ぐから、おまけしてもらったものだけもらうことにする。おまけのものばかりだから、金ははらわなくてもいいだろう」 
  「へっ? それは、その・・・」 
   店の主人が首をひねっている間に、男の人はどこかへ行ってしまいました。  
      おしまい 
        
         
        
       
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